マルコ・アントニオ・ルビオ

メキシコ合衆国コアウイラ州トレオン出身のプロボクサー、マルコ・アントニオ・ルビオは、1980年 6月16日に生まれた。元IBF世界フェザー級王者ロベルト・ガルシアの指導のもと、長いキャリアを積み重ね、元WBC世界ミドル級暫定王者という地位にたどり着いた。ハードパンチャーとして知られ、多くの試合をノックアウトで決着させている。

キャリアの軌跡

ルビオのプロキャリアは2000年5月17日、モンテレイでの判定勝利から始まった。初期はスーパーウェルター級で活躍し、地元コアウイラ州の王座を手にした後、メキシコ国内タイトルを獲得。特にメキシコ王座は幾度も防衛を重ね、その強打で多くの相手をマットに沈めた。この階級ではWBCインターナショナル、WBOインターコンチネンタルといった地域タイトルも獲得し、国外のリングにも進出した。特にロシアでのWBCインターナショナル初防衛戦では、わずか59秒での高速KO勝利を収めている。

しかし、スーパーウェルター級のトップ戦線では苦戦を強いられた。2004年にはWBCインターナショナル王座とWBO世界王座挑戦権をかけた試合で初回KO負けを喫し、その後もカシム・オウマやザウルベック・バイサングロフといった強豪との対戦では判定負けを経験した。これらの敗北を経て、ルビオはミドル級への転向を決意する。

ミドル級に階級を上げてからも、ルビオはその持ち前のKOパワーを発揮し、WBAフェデセントロ王座やFACARBOX王座、WBCラテンアメリカ王座など、複数の地域タイトルを獲得して存在感を示した。特に、無敗の強豪ホープであったデイビッド・レミューを敵地カナダで7回TKOで破った試合は、彼のキャリアにおける重要な勝利の一つである。

こうした実績を積み重ね、ルビオはついに世界タイトル挑戦の機会を得る。2009年にはWBC・WBO世界ミドル級統一王者ケリー・パブリクに挑んだが、9回終了時に棄権し王座獲得はならなかった。その後もキャリアを続け、2012年にはWBC世界ミドル級王者フリオ・セサール・チャベス・ジュニアにも挑戦したが、判定で敗れ、またしても世界王座には手が届かなかった。

暫定王座獲得と悲劇

幾度もの世界挑戦の失敗にもめげず、ルビオは2014年4月5日、ドメニコ・スパダとのWBC世界ミドル級暫定王座決定戦に臨んだ。この試合で10回KO勝利を収め、ついに念願だった主要団体の世界暫定王座を獲得した。

暫定王者となったルビオは、WBA・IBO世界ミドル級スーパー王者ゲンナジー・ゴロフキンとの王座統一戦に臨むこととなる。しかし、この試合の前日計量で悲劇が起こる。ミドル級の契約体重である160ポンドを大きく超過し、再計量も拒否したため、ルビオはWBC世界ミドル級暫定王座を剥奪されたのである。試合はタイトルのかからない通常戦として行われたが、ルビオはゴロフキンの強打に全く歯が立たず、2回に強烈なフックを受けて失神KO負けを喫した。この一戦は、彼のボクシング人生において大きな汚点として残ることとなった。

ゴロフキン戦後、ルビオは再起を図り、スーパーミドル級で試合を行ったが、2015年のアンソニー・ディレル戦では判定負けを喫し、トップ戦線への返り咲きは叶わなかった。

獲得タイトル

マルコ・アントニオ・ルビオは、そのキャリアの中で以下のタイトルを獲得している。

コアウイラ州スーパーウェルター級王座
メキシコスーパーウェルター級王座
WBCインターナショナルスーパーウェルター級王座
WBOインターコンチネンタルスーパーウェルター級王座
WBAフェデセントロミドル級王座
FACARBOXミドル級王座
WBCラテンアメリカミドル級王座
WBCラテンアメリカスーパーミドル級王座
WBCラテンアメリカミドル級暫定王座
IBFインターナショナルミドル級王座
WBF世界スーパーミドル級王座
WBC世界ミドル級暫定王座（防衛0、剥奪）

数多くの地域タイトルを獲得し、KOの山を築いたルビオのキャリアは、世界王座への強い渇望と、最後の頂点を極める寸前での挫折という、ボクシングの厳しさを象徴するような軌跡であったと言える。

もう一度検索