マルサの女2

日本映画『マルサの女2』

1988年1月15日に公開された『マルサの女2』は、伊丹十三監督が手掛けた日本映画です。この作品は、前年に公開された大ヒット作『マルサの女』の続編となっており、国税局査察部（通称マルサ）の女査察官を主人公に据えています。物語の中心は、宗教法人を隠れ蓑にして巨額の脱税を行う地上げ屋たちとの熾烈な戦いです。

伊丹監督はこの作品について、前作は入門編であり、今回描く内容が本来のテーマであると述べています。また、『マルサの女2』は、日本に当時唯一存在していた最新型のスタインベック編集機を使用して編集されました。この機械は後に俳優の小林旭に購入されています。

ストーリー背景

物語の舞台はバブル期の東京で、地上げ屋同士の争いが続いています。オフィスビルの建設ラッシュにより、政治家や商社、銀行が結託し、巨額の利益を求める欲望が渦巻いていました。特に大物政治家・漆原から地上げを指示された代議士の猿渡は、宗教法人「天の道教団」の管長である鬼沢を手配します。彼は宗教を利用して様々なビジネスを展開し、結果的に巨額の脱税を実施していました。

国税局の査察部は、鬼沢の内偵調査を開始します。やり手の査察官である板倉亮子は、大蔵省のエリート官僚・三島と共に鬼沢の調査に乗り出しますが、教団の信者やヤクザたちの妨害に阻まれ、なかなか進展しません。しかし、徐々に脱税の証拠を掴むことに成功し、強制調査に踏み切ります。

主要なキャラクター

作品には多くの魅力的なキャラクターが登場します。主役の板倉亮子は、前作の特徴的な「マルサカット」を維持しつつ、そのキャラクターを大いに発揮。国税局査察部の統括官である花村、管理課長の佐渡原やその他の査察官たちもそれぞれに個性を持ち、物語を彩ります。

鬼沢鉄平を演じた三國連太郎は、表向きは教団の管長として振る舞いますが、裏ではヤクザ集団の組長として活動しています。彼は国税局の取調べに応じることなく、自らの行動を正当化。周囲からは使い捨ての駒として扱われ、結局は悲運に見舞われます。

心の葛藤と権力の闘争

馬鹿らしいほどの利権争いや隠蔽工作が繰り広げられ、権力者たちの思惑が交錯する様子は、見ごたえがあります。査察部のメンバーは、信者やヤクザの妨害を乗り越えようと必死に努力し、同時にそれぞれの個人的な葛藤も描かれています。このように、単なる脱税事件を超えた深い人間ドラマが展開されます。

まとめ

『マルサの女2』は、政治家やビジネスマン、そして査察官たちの権力や欲望、そしてその背後に潜む腐敗を描写した秀逸な作品です。伊丹監督の視点から社会の深刻な側面を描きつつ、同時にエンターテインメントとしても楽しめる要素が詰まっています。この作品は、日本映画界において重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

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