査察部

国税局査察部とは

国税局査察部は、国税局に設置されている、悪質な脱税を取り締まるための専門部署です。税務署では対応が難しい複雑かつ大規模な脱税事件を専門に扱い、その調査と検察庁への告発を主な任務としています。

組織と役割

査察部は、東京、大阪、名古屋の3つの国税局にのみ設置されており、その他の国税局には「調査査察部」が設置されています。全国で約1300名の査察官が活動しており、そのうち約600名が東京国税局に所属しています。査察官は、裁判所の許可を得て、脱税が疑われる場所への臨検、捜索、差押えといった強制調査を行うことができます。

査察部の組織は、大きく分けて「情報部門（内偵班）」と「実施部門（捜索班）」の2つがあります。

情報部門（内偵班）

情報部門は、脱税の疑いがある人物や法人の情報を収集・分析する役割を担います。マスコミからの情報、内部告発、風評などを基に、対象者の事業内容、取引先、金融機関口座、親族関係などを秘密裏に調査します。緻密な情報分析と内偵調査の結果、脱税の疑いが濃厚になった場合は、裁判所に捜索差押許可状を請求します。情報部門の職員は、その身分を明かすことはありません。内部では「情（なさけ）」という隠語で呼ばれることもあります。

実施部門（捜索班）

実施部門は、裁判所から捜索差押令状を得て、脱税の疑いがある場所へ強制調査を行います。情報部門が分析した情報を基に、対象者の自宅や会社を捜索し、証拠となる資料を押収します。また、関係者への質問調査を通して脱税の証拠を固め、検察庁への告発へとつなげます。実施部門は「実（みのり）」という隠語で呼ばれます。実施部門には、検察庁や警察庁、法務省など他の官庁から出向した職員もいます。

東京国税局査察部の組織

東京国税局査察部は、以下のような組織で構成されています。

査察管理課
査察総括第一課
査察総括第二課
査察広域課
資料情報課
査察審理課
査察開発課
査察国際課
情報部門査察第一部門～情報部門査察第十七部門
実施部門査察第二十一部門～実施部門査察第三十六部門

また、特別国税査察官という役職も存在します。

役職

査察部の役職は以下の通りです。

査察部長（財務省キャリア指定席）
情報部門担当次長（国税庁キャリア指定席）
実施部門担当次長（税務ノンキャリア指定席）
課長（大規模税務署長クラス）
統括官（一般税務署長クラス）
総括主査 （副署長クラス）
主査（税務署課長・統括国税徴収官クラス）
主任
係員

メディアでの描かれ方

査察部は、その活動内容から、数々の映画やドラマの題材にもなっています。

伊丹十三監督『マルサの女』
伊丹十三監督『マルサの女2』
ナサケの女
税務調査官・窓際太郎の事件簿
マルサ!!東京[[国税局査察部]]
チェイス〜国税査察官〜
東のエデン 劇場版II Paradise Lost

これらの作品を通して、査察部の活動の一端を垣間見ることができます。

査察部は、脱税という国家の財産を侵害する行為に対し、厳正な姿勢で臨む組織です。その活動は、国民の税に対する信頼を維持するために不可欠なものであり、社会正義の実現に貢献しています。

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