マルス駒ヶ岳蒸溜所

マルス駒ヶ岳蒸留所の概要

マルス駒ヶ岳蒸留所は、長野県上伊那郡宮田村に位置するジャパニーズ・ウイスキーの蒸留所です。この蒸留所は1985年に設立され、1992年から2011年まで約19年間にわたって蒸留を休止していましたが、2011年に蒸留を再開しました。そこで製造されるシングルモルトウイスキーは「駒ヶ岳」として知られています。さらに、2024年3月1日からは事業所名を「マルス信州蒸留所」から「マルス駒ヶ岳蒸留所」に変更し、ブランドの統一性を図ります。

歴史・背景

本坊酒造によって設立されたこの蒸留所は、実は1872年に創業した長い歴史を持つ企業に属しています。ウイスキー事業は1949年から始まり、当初はモルトウイスキーをほとんど含まない模造ウイスキーを生産していました。1960年には山梨県にウイスキー用の蒸留所を開設し、1985年に現在の位置に移転しました。特に、冬の寒さと夏の暑さが大きく違うこの地域は、ウイスキーの製造に理想的な環境とされています。

しかし、1989年の酒税法改正やウイスキー不況により、1992年には蒸留を一時的に休止しました。休止中でも1996年には本坊酒造初のシングルモルトウイスキー「モルテージ駒ヶ岳10年」を発売し、その後2011年に蒸留を再開しました。再開後は設備の更新を行い、より良いウイスキーの製造へとつながりました。

製造方法

麦芽と仕込み

マルス駒ヶ岳蒸留所では、主にイギリスから輸入した各種の麦芽を使用し、わずかに地元産の二条大麦も取り入れています。麦芽は4種類のフェノール濃度によって選ばれ、それに応じた仕込み水が地下120メートルから汲み上げられた軟水を使用しています。発酵にもストレートな製法が用いられ、ステンレスと木製のウォッシュバックで異なる特徴の酒質が生み出されています。

蒸留

蒸留過程では、ポットスチルを使用し、2基のスチルが必要なプロセスを担っています。初留器と再留器ともに三宅製作所製で、初留器には窓がついており、製造過程の観察もしやすくなっています。

熟成

熟成を行うための樽に関しては、バーボン樽が主となりつつも、シェリー樽やポート樽、時には梅酒樽など多様な樽が使用されています。特に屋久島エージングセラーでの熟成は特異な風味を引き出し、そのプロセスは世界中のウイスキー愛好者から注目されています。

製品ライン

「駒ヶ岳」として知られるこのシングルモルトは、数量限定で販売され、その年の好評に応じてラインアップは変わります。また、ブレンデッドウイスキーも取り扱っており、原酒のバランスを考えて独自性を追求しています。

見学と体験

再開を機に、蒸留所は一般向けにも開放され、無料の見学ツアーを受けられるようになりました。ツーリズムを意識したビジターエリアや試飲が可能なバーカウンターも設けられています。これにより、訪問者はウイスキーの製造過程を身近に感じることができます。

この蒸留所は、ウイスキー愛好者だけでなく、未来のウイスキー製造に影響を与える存在としても期待されています。

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