マルタン夫妻

マルタン夫妻：聖リジューのテレーズの両親

ルイ・マルタン（1823年 - 1894年）とゼリー・マルタン（1831年 - 1877年）は、カトリック教会の聖人であり、聖リジューのテレーズの両親として知られています。夫婦揃って列聖された初の例としても有名です。

ルイ・マルタンの生涯

ルイ・ジョゼフ・アロイス・マルタンは、1823年にボルドーで生まれました。父はフランス陸軍の大尉でした。若い頃は修道士を志しましたが、健康上の理由で断念し、時計職人として生計を立てました。1850年にアランソンに移り住み、そこでゼリー・ゲランと出会い、1858年に結婚しました。2男7女をもうけ、そのうち5人が成人しました。ゼリーの死後、妻の弟であるゲラン夫妻のいるリジューに移り住み、晩年は心臓発作を起こし、精神を患い、1894年にミュッスで亡くなりました。

ゼリー・ゲランの生涯

アゼリー・マリー・ゲランは、1831年にサン・ドニ・シュール・サルトンで、軍人の家庭に生まれました。1841年にアランソンに移住。姉で聖母訪問会修道女であるマリー・ドジテの影響で修道女に憧れましたが、健康上の理由で断念しました。その後、ルイ・マルタンと出会い、1858年に結婚。主婦として、アランソンの名産品であるレースの職人として働き、生計を立てました。1873年に末子であるテレーズを出産後、乳癌を患い、奇跡による治癒を求めてルルドへ巡礼しましたが、病状は悪化し、1877年に亡くなりました。

列福と列聖

マルタン夫妻の列福調査は1957年に開始され、1994年3月26日にローマ教皇ヨハネ・パウロ2世によって尊者に列せられました。2008年10月19日には、リジューで列福されました。さらに、2015年3月4日には、同年10月に開催予定の世界司教会議（シノドス）中に列聖されることが発表されました。

2008年、生後間もない難病を患った乳児が、福者マルタン夫妻の取り次ぎによる奇跡で治癒されたことが確認され、2015年10月18日にローマ教皇フランシスコによって列聖されました。夫婦揃っての列聖は、カトリック教会史上初の出来事でした。

マルタン夫妻の子供たち

マルタン夫妻には、以下の9人の子供がいました。

長女：マリー（1860年 - 1940年） - カルメル会修道女「御心のマリー」
次女：ポリーヌ（1861年 - 1951年） - カルメル会修道女「イエスのアニエス」
三女：レオニー（1863年 - 1941年） - 聖母訪問会修道女「フランソワーズ・テレーズ」
四女：エレーヌ（1864年 - 1870年）
長男：ジョゼフ・ルイ（1866年 - 1867年）
次男：ジョゼフ・ジャン・バティスト（1867年 - 1868年）
五女：セリーヌ（1869年 - 1959年） - カルメル会修道女「尊き面影のジュヌヴィエーヴ」
六女：メラニー（1870年）
七女：テレーズ（1873年 - 1897年） - カルメル会修道女「幼いイエスと尊き面影のテレーズ」

マルタン夫妻は、信仰深く、互いを深く愛し、子供たちを大切に育みました。その生き方は、現代の私たちにとっても模範となるものであり、彼らの列聖は、家族の愛と信仰の重要性を改めて教えてくれます。

参考文献

『幼いイエスの聖テレーズ自叙伝』テレーズ・マルタン、ドン・ボスコ社
『ある家族の物語』 ドン・ボスコ社
『レオニー 小さい道を妹テレーズと共に』 伊従信子、2005年

もう一度検索