マルチタップ (コンピュータゲーム)

マルチタップ：複数人同時プレイを可能にした周辺機器

マルチタップは、複数のゲームコントローラーをゲーム機に接続するための周辺機器です。特に3人以上の同時プレイを可能にすることで、ゲーム体験を豊かにしました。その歴史は、家庭用ゲーム機の黎明期にまで遡ります。

家庭用ゲーム機におけるマルチタップ

PCエンジン

1987年発売のPCエンジンは、標準で1つしかコントローラーを接続できない端子しか持っていませんでした。そこで登場したのがNECホームエレクトロニクス製のマルチタップです。最大5人までの同時プレイを可能にしたこの製品は、多くのゲームで活用され、PCエンジンのマルチプレイ環境を大きく発展させました。代表的なタイトルとして、『ダンジョンエクスプローラー』や『プロテニス ワールドコート』などが挙げられます。後には、無線接続に対応したコードレスマルチタップも登場しました。

ファミリーコンピュータ

ファミコンは標準で2つのコントローラーを接続可能でしたが、3人以上の同時プレイには別売りの周辺機器が必要でした。初期は、プレイヤー1のコントローラーの代替として連射機能付きコントローラーが用いられることが多かったものの、1986年発売の『もえろツインビー シナモン博士を救え!』を皮切りに、複数人同時プレイに対応するゲームが登場し始めます。

HAL研究所の『ジョイボール』用のジョイスティック接続機器「ジョイペア」は、マルチタップの初期の例として挙げられます。この機器は、『ダウンタウン熱血行進曲』などで、4人同時プレイを実現しました。

その他の家庭用ゲーム機

NINTENDO64以降の家庭用ゲーム機は、複数のコントローラー接続端子を標準搭載するようになり、マルチタップは次第に必要なくなっていきました。Xbox 360、PlayStation 3、Wii以降はワイヤレス接続が主流となり、専用のマルチタップは市場から姿を消しました。有線接続が必要な場合は、USBハブがマルチタップの役割を担うようになりました。

さまざまなマルチタップ

様々なメーカーから、多様なマルチタップが発売されました。ここでは、代表的なものをいくつか紹介します。

PCエンジン用マルチタップ

マルチタップ（NECホームエレクトロニクス）：最大5人接続可能
バトルタップ（ビッグ・クラブ）：最大4人接続可能
JOYTAP3（ハドソン）：最大3人接続可能
コードレスマルチタップセット（NECホームエレクトロニクス）：無線接続、最大5人接続可能

ファミリーコンピュータ用マルチタップ

ジョイペア（HAL研究所）：最大4人接続可能（ソフト依存）
ツインアダプタ（HORI）：最大4人接続可能（ソフト依存）
4PLAYERS ADAPTOR（HORI）：最大4人接続可能
NES Satellite（HORI）：最大4人接続可能、無線式、連射機能搭載
* NES Four Score（HORI）：最大4人接続可能、有線式、連射機能搭載

その他

スーパーファミコン、セガサターン、PlayStation、PlayStation 2など、多くの機種で様々なマルチタップが発売されました。これらの製品は、接続可能なコントローラーの数や、無線接続の有無、さらにはデザインなど、多様な特徴を持っていました。

マルチタップの終焉とその後

ワイヤレスコントローラーの普及により、マルチタップは徐々に市場から姿を消していきました。現代の家庭用ゲーム機では、複数のコントローラーを同時接続するための特別な周辺機器は必要ありません。しかし、マルチタップは、多くのゲーマーにとって、かつての楽しいゲーム体験を象徴する存在として、記憶の中に生き続けています。

まとめ

マルチタップは、家庭用ゲーム機の進化において重要な役割を果たしました。複数人での同時プレイを実現することで、ゲームの楽しさを広げ、多くの思い出を創造しました。その歴史と多様な製品は、ゲーム史において貴重な記録となっています。

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