マルティアヌス・ミンネウス・フェリクス・カペッラ

マルティアヌス・ミンネウス・フェリクス・カペッラの概要

マルティアヌス・ミンネウス・フェリクス・カペッラ（Martianus Minneus Felix Capella、365年頃 - 440年頃）は、古代末期に活動した非キリスト教徒の著述家であり、初期中世の教育基盤である自由七科の体系を発展させた最初の人物の一人です。一般にはマルティアヌス・カペッラとして知られています。彼の代表作は『フィロロギアとメルクリウスの結婚について』（De nuptiis Philologiae et Mercurii）であり、これは非常に影響力のある文献とされています。

彼に因んで名付けられた月のクレーター「カペッラ」もその名声を物語っています。

生涯について

カペッラは、アフリカ属州のマダウルスに生まれたとされ、カルタゴで法学を学んだとされています。5世紀の初めに活動しており、特に彼の著作である『フィロロギアとメルクリウスの結婚について』は410年のローマ略奪の前に書かれたことが記録されています。彼は修辞学教授のセクルス・メモル・フェリクスからも名前が残っています。カペッラの活躍は、教育史、文献学、科学史の重要な一部を成すものです。

主著『フィロロギアとメルクリウスの結婚について』について

この作品は、散文と詩的要素を巧妙に組み合わせた教訓的なアレゴリーとして知られています。言葉の知恵や学問の擬人化を通じて、学問の重要性とその結びつきを表現しています。本書の構成は、メルクリウスが乙女フィロロギアに求婚する物語で始まり、その後の展開で知識のさまざまな側面を紹介しています。

特に目を引くのは、メルクリウスが「知恵」、「占い」、「魂」から反論を受ける場面です。この物語は、学問（フィロロギア）と知性（メルクリウス）の結びつきを示すもので、教育における自由七科の重要性を強調しています。

自由七科の紹介

本書では、フィロロギアに仕える七人のメイドたちが登場します。彼女らは自由七科を象徴し、それぞれ文法学、弁証術、修辞学、幾何学、算術、天文学、音楽を体現しています。この象徴は、教育における彼女の思想の原理を示すものでもあります。その他にも、建築学や医学が言及される場面もありますが、これらは自然科学の領域に関わるため、聖なる場では黙っているという趣向が見られます。

『フィロロギアとメルクリウスの結婚について』には、彼の周囲の古典作品からの引用もあり、古典的教育の側面が豊富に含まれています。

影響と評価

カペッラの著作は、中世初期の教育に大きな影響を与え、彼の作品は長い間学校の教科書として使用されました。中世の腫瘍的な数の写本と注釈から、彼の作品は教育の中枢に存在していたことがわかります。トゥールのグレゴリウスなど、他の著述家も彼の影響を受けて作品を残しています。

カペッラの著作物は、形式的な側面だけでなく、その内容も深く、教訓的な価値を持つものです。近代の学者たちも彼の哲学に関心を示し、彼の著作は今でも研究対象になっています。最初に印刷された版は1499年に登場し、以降の版も彼の作品に対する需要を示しています。

カペッラの思想は、後の時代の学問に多大な影響を与え続け、教育の発展に寄与しました。彼の作品は、古代から中世にかけての教育の方法論を理解する上で欠かせない重要な資料となっています。

もう一度検索