マルティン・ハラー

マルティン・ハラー

マルティン・エミール・フェルディナント・ハラー（Martin Emil Ferdinand Haller）は、1835年12月1日にハンブルクで生まれ、同地で1925年10月25日に没したドイツの建築家です。法学者であり、後にハンブルク市長を務めたニコラウス・フェルディナント・ハラーの息子として生まれました。

生涯とキャリア

若い頃から建設工学と建築に深い関心を抱き、ポツダム、ベルリン、そしてパリで専門的な学びを深めました。特にパリでの経験は、その後の彼の建築スタイルに大きな影響を与えることになります。故郷ハンブルクに戻った彼は、父親の幅広い人脈も手伝い、たちまちハンブルクを代表する建築家の一人として広く知られ、尊敬を集めるようになりました。

ハラーはキャリアの中で、レオポルト・ランプレヒトとは1872年から1883年にかけて、またヘルマン・ガイスラーとは1898年から1914年にかけて共同で設計活動を行いました。

彼の最も特筆すべき業績の一つは、ハンブルク市庁舎の設計に携わったことです。1880年、彼はハンブルクの他の7人の建築家と共に「ラートハウスマイスターブント（市庁舎建設マイスター組合）」を設立しました。この組合は、市庁舎の設計と建設を共同で手がけるために組織され、ハラーはその中心メンバーとして、壮麗なハンブルク市庁舎の完成に大きく貢献しました。

建築家としての実務と並行して、彼は公共的な役割も担いました。1876年から1884年までハンブルクの建築家・技術者協会の会長を務め、建築界の発展に貢献しました。さらに、1885年から1890年までハンブルク市議会議員として、都市の発展にも関与しました。

建築様式と作品

マルティン・ハラーは多岐にわたる建築を手がけましたが、特に新古典主義様式の邸宅建築で知られています。彼の設計した邸宅の多くは、今日でもハンブルクのハルヴェステフーデ地区などでその姿を見ることができ、一部は外観などが保存されています。アルスター湖畔に建つ現在のアメリカ領事館として使用されている建物は、彼の邸宅建築の代表例として有名です。

一方、オフィスビルにおいては、当時の最先端を行く近代的な設計を取り入れました。耐力壁の使用を最小限に抑えることで、内部空間の柔軟な変更を可能にし、テナントの多様なニーズに対応できるようにしました。また、パーテルノステル式エレベーター、セントラルヒーティング、電灯といった当時の最新設備を導入するなど、機能性と快適性を追求しました。

彼の主要な作品には以下のようなものがあります。

1874–1875年: Stellahaus
1882–1883年: 現・アメリカ領事館
1896–1897年: ハンブルク市庁舎
1897–1898年: F. Laeisz
1899年: ドレスナー銀行
1900–1901年: アフリカハウス
1901–1903年: HAPAG（ハンブルク・アメリカ汽船株式会社ビル）
1904–1908年: ライスハレ（現・エルプフィルハーモニー・ハンブルクの一部）
1907年: Daniel-Schutte-Stift
1908–1909年: Slomanhaus
* 1912–1913年: M・M・ヴァールブルク&CO

私生活と遺産

1865年、マルティン・ハラーはアントニー・シュラム（1846年-1925年）と結婚し、一男三女をもうけました。彼の墓は、ハンブルクの広大なオールスドルフ墓地のW22区画にあります。なお、ハンブルク市内にある「ハラー通り（Hallerstraße）」の名前は、彼の父であるニコラウス・フェルディナント・ハラーにちなんで付けられたものです。

マルティン・ハラーは、その卓越した建築技術とデザインセンスにより、ハンブルクの都市景観形成に多大な貢献をしました。新古典主義の優雅さと近代的な機能性を融合させた彼の建築作品は、今日でもハンブルクの街並みにその存在感を示しています。

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