マルバカイドウ

マルバカイドウ

マルバカイドウ（学名：Malus prunifolia var. ringo）は、バラ科リンゴ属に分類される耐寒性の落葉高木です。セイシ、キミノイヌリンゴといった別名でも知られています。

特徴

中国北部を原産とする落葉性の小高木で、イヌリンゴの変種とされています。春には白から紅色へと変化する美しい花を咲かせます。花後に実るリンゴに似た小さな赤い果実は、観賞用としての価値は高いものの、食用にはあまり適していません。

マルバカイドウは、リンゴ栽培において接ぎ木の台木として広く利用されています。葉は広楕円形をしており、特徴的な裂片葉は見られません。また、果実の萼が離脱しない点も特徴の一つです。近縁種としては、ウケザキカイドウ（別名：ベニリンゴ、リンキ）などが挙げられます。

利用

主な利用法としては、リンゴの接ぎ木における台木としての利用が挙げられます。台木とは、接ぎ木において根となる部分を指し、マルバカイドウはその耐寒性や生育の強さから、優良な台木として重宝されています。

彦根りんごの復刻

かつて「幻のリンゴ」と呼ばれた彦根りんごの栽培においては、マルバカイドウが重要な役割を果たしました。往時の品種に近いリンゴを栽培する試みにおいて、マルバカイドウの台木に接ぎ木を行うことで栽培が試みられました。2007年4月には美しい花が咲き、同年8月には見事に実が収穫され、話題となりました。この事例は、マルバカイドウが地域の特産品復活に貢献した好例と言えるでしょう。

マルバカイドウは、観賞用としての美しさに加え、リンゴ栽培を支える重要な役割を担う有用な樹木です。

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