マルヒュア郡 (オレゴン州)

マルヒュア郡は、オレゴン州の南東端に位置する郡で、その歴史は1887年にベーカー郡から分離して設立されたことに始まります。郡名は、中央を流れるマルヒュア川に由来しています。1860年代初頭には鉱業や牧畜に従事する人々が入植し、1863年の金発見を契機に開発が進みました。1890年代にはバスク人が牧羊のために移住し、地域の多様性を形成しました。

地理的には、郡の総面積は約25,719平方キロメートルで、大部分が陸地ですが、わずかながら水域も存在します。郡の西にはハーニー郡、北西にはグラント郡、北にはベーカー郡が隣接しています。また、北東にはワシントン郡、東にはアイダホ州のペイエット郡、キャニオン郡、オワイヒー郡が接しており、南にはネバダ州のハンボルト郡があります。

人口動態については、2000年の国勢調査によると、人口は約31,615人です。人種構成は白人が75.78%と最も多く、ヒスパニック・ラテン系が25.62%と続きます。その他、アフリカ系アメリカ人、ネイティブアメリカン、アジア系、太平洋諸島系、その他の人種、混血も存在します。言語としては、英語が79.4%で最も多く、スペイン語が19.4%となっています。年齢別に見ると、18歳未満が27.60%、18歳から24歳が10.60%、25歳から44歳が27.20%、45歳から64歳が21.00%、65歳以上が13.70%となっています。世帯構成では、18歳未満の子供がいる世帯が36.20%、夫婦世帯が57.30%、単身世帯が23.70%となっています。

経済面では、郡の94%が放牧地であり、その大部分は土地管理局が管理しています。北東部には灌漑農地が広がり、農業が盛んです。また、アイダホ州との経済的な結びつきが強く、郡の大部分では山岳部標準時を採用しています。マルヒュア郡は、オレゴン州で唯一、複数の時間帯が存在する郡です。

政治的には、共和党の支持が非常に強い地域で、過去の大統領選挙でも共和党候補が圧倒的な支持を得ています。しかし、近年では民主党への支持が若干増加する傾向も見られます。郡はオレゴン州下院選挙区の第2区に属しています。

郡内には、オンタリオ、ヴェイルといった市があり、非法人共同体も点在しています。主な雇用主としては、スネーク・リバー矯正施設や、ジャガイモ加工業者のOre-Idaがあります。しかし、オレゴン州で最も貧しい郡の一つであり、2008年の時点で、住民の21%が貧困状態にありました。

マルヒュア郡は、その多様な歴史、地理、経済、文化が複雑に絡み合い、独自の地域性を形成しています。

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