マルプラケの戦い

マルプラケの戦い：スペイン継承戦争における激戦

マルプラケの戦いは、1709年9月11日に現在のフランス・ノール県マルプラケ村で、グレートブリテン王国、オーストリア、ネーデルラント連邦共和国の同盟軍とフランス軍が衝突した、スペイン継承戦争における重要な戦闘です。

戦闘の背景

1708年のアウデナールデの戦いとリール包囲戦でのフランス軍の敗北、そして1709年のヨーロッパを襲った厳寒と飢饉により、フランス王ルイ14世は和睦を模索し始めました。オランダとの単独交渉から始まり、同盟国全体との交渉へと移行しました。しかし、同盟国が提示した過酷な条件、特にスペイン王位をフェリペ5世からカール大公へ移すという要求は、フランス国内で強い反発を招き、交渉は決裂しました。

防衛線の構築

ルイ14世は国民に協力を訴え、私財を戦費に投じました。国民と貴族もこれに応じ、徴兵と財産の供出に志願しました。フランス軍は防衛に徹することを選択し、ヴィラールを司令官に任命しました。ヴィラールは、新たな防衛線をエールからモブージュまで二重に構築し、その中間に位置するドゥエーで同盟軍を迎え撃つ戦略を立てました。

前哨戦と布陣

同盟軍はトゥルネーを陥落させた後、モンスを包囲しました。ルイ14世はヴィラールに出撃を命じ、ブーフレールも志願して出陣しました。両軍はモンス南方のマルプラケ村で合流し、陣地の構築を開始しました。ヴィラールは左右の森に兵を潜ませ、塹壕を築き、切り倒した木を鎖で繋いで要塞を構築しました。一方、同盟軍はモンスを包囲しながらも、フランス軍の攻撃を誘う戦略を取りました。

戦闘の経過

9月11日午前9時、同盟軍はフランス軍陣地への攻撃を開始しました。同盟軍の左翼はオランダ軍が担当しましたが、森の守りは堅く、大きな損害を出して敗走しました。右翼ではドイツ軍が優勢となり、ヴィラールは中央から左翼への増援を余儀なくされました。激戦の中、オイゲンは銃弾を受けながらも指揮を執り続け、フランス軍を森から追い出すことに成功しました。

ヴィラールは反撃を試みましたが、同盟軍の一斉射撃で負傷し、後方へ運ばれました。ブーフレールが指揮を引き継ぎましたが、フランス軍左翼は後退、中央も陣地を放棄しました。同盟軍は中央に騎兵を集めて突破を試みましたが、フランス軍の抵抗により、総退却を余儀なくされました。午後3時、戦闘は終了し、同盟軍は大きな損害を出しました。

戦闘の影響

同盟軍は勝利したものの、損害はフランス軍を大きく上回り、手放しで喜べる結果ではありませんでした。一方、フランスは戦意を取り戻し、和睦の可能性は遠のきました。同盟軍は改めてモンスの包囲に取り掛かり、10月21日に陥落させました。しかし、イギリスではマールバラ公への非難が強まり、政局にも変化が生じました。トーリー党が与党となると、マールバラ公は罷免され、イギリスはフランスとの秘密交渉に入り、1713年のユトレヒト条約、1714年のラシュタット条約締結へと繋がりました。

マルプラケの戦いは、スペイン継承戦争の転換点となり、その後のヨーロッパの勢力図に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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