マルヤマシュウカイドウ

マルヤマシュウカイドウについて

概要

マルヤマシュウカイドウ（Begonia lacinata Roxb. var. formosana Hayata）は、日本に自生するシュウカイドウ科の植物であり、特にその美しい桃色の花とユニークな葉の形状が特徴的です。この多年生草本は、主に沖縄に見られることで知られています。

特徴

この植物は、みずみずしさを感じさせる柔らかい草本で、根茎が横に広がる特性を持っています。根から立ち上がる茎は斜めに立ち、高さは約30〜40センチメートルに達します。各節ごとに葉が互生し、長さ約10センチメートルの葉柄を持っています。葉自体はおおよそ10〜15センチメートルの長さで、幅は7〜12センチメートルに及び、左右対称ではない歪んだハート形をしています。葉の縁には粗く大きな鋸歯があり、さらに重鋸歯と呼ばれる細かい鋸歯が存在します。

花は傘状の花序に少数が咲き、雄花と雌花の両方が見られます。特に雄花は桃色で、四弁構造を持ち、大きな花弁は約2センチメートルの長さに成長します。果実は翼を持ち、その幅は最大で20ミリメートルに達します。

生育環境

マルヤマシュウカイドウは、主に森林内の岩場や渓流沿いに生息しています。この環境は同属のコウトウシュウカイドウとも共通していますが、マルヤマシュウカイドウは独自の生育条件を持ち、多様な環境に適応しています。

分布

日本では特に石垣島と西表島に自生し、国際的には台湾にも見られます。基本的な変種であるヒマラヤにも分布が確認されていますが、日本の自生種としてはマルヤマシュウカイドウとコウトウシュウカイドウの2種のみです。この二つは外見が似ていますが、マルヤマシュウカイドウが全体的に大きく、花も桃色であるのに対し、コウトウシュウカイドウは白い花を持ち、茎は立ち上がりません。

現状と保護

この植物は、環境省のレッドデータブックに記載されている準絶滅危惧種ですが、沖縄県内ではコウトウシュウカイドウのみが注目され、マルヤマシュウカイドウについてはあまり言及されていません。国内の分布範囲はそれほど大きく変わらないものの、個体数についてはマルヤマシュウカイドウが優勢であると考えられています。これにより、保護対象としての扱いが異なるのかもしれません。

参考文献

この情報は、初島住彦著の「琉球植物誌（追加・訂正版）」を函館で引用しています。沖縄の植物に関する貴重なデータが掲載されており、さらに詳しい情報を求める際のリソースとして活用できるでしょう。

もう一度検索