マロティ＝ドラケンスバーグ公園

マロティ＝ドラケンスバーグ公園

概要

マロティ＝ドラケンスバーグ公園は、南アフリカ共和国のウクハランバ・ドラケンスバーグ公園とレソトのセサバテーベ国立公園から成る世界遺産で、UNESCOの世界遺産リストに登録されています。この地域は、美しい自然が広がるドラケンスバーグ山脈や、その生物多様性が特徴で、さらに、数千年にわたってサン人が残してきた数多くの岩絵が存在します。自然と文化の融合が評価され、グレート・エスカープメントで最大の自然保護区を形成しています。

登録経緯

1997年7月に南アフリカ共和国は世界遺産条約を締約し、1999年には初の世界遺産としてロベン島などが登録しました。ウクハランバ・ドラケンスバーグ公園は、1999年6月に複合遺産として推薦され、2000年には正式に登録されました。最初は南アフリカ共和国の地域のみが対象でしたが、2013年にレソトのセサバテーベ国立公園が追加登録されたことで、名称が「マロティ＝ドラケンスバーグ公園」に変更されました。これはレソトにとって初の世界遺産となりました。

豊かな文化遺産

この地域の重要な文化的側面は、サン人が残した岩絵に見られます。彼らは約8,000年前にこの地域に住み始め、ウクハランバ・ドラケンスバーグ公園では2400年前から、セサバテーベではおよそ4000年前から描かれてきました。ウクハランバ・ドラケンスバーグ公園では、600の岩陰遺跡があり、35,000以上の岩絵があります。特に、狩猟の傍らで描かれた人物像や動物の絵はその文化と宗教観を反映しており、高い芸術価値と宗教的意義が評価されています。

自然遺産としての価値

自然美と生物多様性もこの公園の大きな魅力です。ウクハランバ・ドラケンスバーグ公園には、南アフリカで最も高い山々があり、気候帯に応じた多様な植生が見られます。それぞれの高度において、マキ科の森林、フィンボス、高山性の凍原などが確認されており、全体で2,153種の植物が存在し、109種が絶滅の恐れがあるとされています。また、動物相も豊かで、哺乳類や鳥類、両生類、爬虫類などが生息しています。

レソトのセサバテーベ国立公園

1969年に設立されたセサバテーベ国立公園は、レソトで最初の国立公園です。この公園では515種の植物が確認されており、その中には固有種も含まれています。さらに、107種の鳥類が生息しており、特に危急種の鳥が見られるため、保全上重要な生息地としても認識されています。

世界的な評価

マロティ＝ドラケンスバーグ公園は、世界遺産としての登録基準を満たしています。特に、サン人の岩絵は、その大きさ、多様性、質において他にはない特別な存在として評価されています。また、この地域は生物多様性に富み、地球的な観点からも重要な生息地であるため、自然保護の観点からも注目されています。

結論

南アフリカとレソトの国境を越えたこの公園は、自然の美しさと人類の文化を同時に体感できる、貴重な場所です。マロティ＝ドラケンスバーグ公園は、訪れる人々に深い感動をもたらし、その重要性と美しさを後世に繋げていく必要があります。

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