マンシュウヤマブドウ

マンシュウヤマブドウ（満洲山葡萄、学名：Vitis amurensis）は、ブドウ科ブドウ属の落葉性木本蔓植物です。別名として、アムールブドウ、チョウセンヤマブドウとも呼ばれます。

特徴

若い枝にはくも毛があり、巻き髭を持っています。葉は楕円形で大きく、3〜5ヶ所の切れ込みと柄元に窪みがあります。葉の表面は滑らかですが、裏面には毛が生えています。夏に開花し、雌雄異株で円錐花序をつけます。果実は黒色です。

他の多くのブドウ品種とは異なり、年間降雨量が700mm以上の湿潤気候と軽度の酸性土壌を好みます。また、いくつかの病気やブドウネアブラムシに対して耐性を持っています。

分布

ロシアのアムール州、沿海州、中国の黒龍江省、安徽省、遼寧省、浙江省、吉林省、山西省、山東省、河北省などに自生しています。標高200〜1,200メートルの地域の、山の斜面や渓谷の林や藪に多く見られます。

かつて北海道での自生が報告されていましたが、その後の調査で誤認であることが判明しました。現在では、ヤマブドウの一系統かタケシマヤマブドウVitis coignetiae var. glabrescensであると考えられています。

マンシュウヤマブドウには、以下の4つの変種があります。

V. amurensis var. amurensis
V. amurensis var. dissecta（深裂山葡萄）
V. amurensis var. yanshanensis（燕山葡萄）
V. amurensis var. funiushanensis（伏牛山葡萄）

利用

マンシュウヤマブドウは、栽培品種として広く利用されています。一般的には、サンクトペテルブルクを限界とするヨーロッパロシア北部まで栽培されています。

旧ソ連の研究機関において、耐寒性や病気への耐性を付与するために、他の多くのブドウ品種（主にヨーロッパブドウ）との交雑品種が生み出されました。これらの交雑品種は、ワインや生食用として生産されており、葉も食用として利用されるほか、黄色の染料用途でも使用されます。

西欧でも栽培されている交雑種としては、ザーリャ・セヴェラ、セヴェルヌィ、ロンドなどがあります。

初の商業栽培は、満洲国通化省においてワイン醸造用に行われました。

マンシュウヤマブドウは、その耐寒性と病害虫への耐性から、寒冷地や病害虫の発生しやすい地域でのブドウ栽培において重要な役割を果たしています。また、独特の風味を持つワインの原料としても注目されています。

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