マンダレイ・ベイ・トラム

マンダレイ・ベイ・トラム（英: Mandalay Bay Tram）は、アメリカ合衆国ネバダ州パラダイスにあるラスベガス・ストリップ南部で運行される高架式新交通システムです。

1999年4月9日に開業し、全長は838メートルに及びます。このトラムは、MGMリゾーツ・インターナショナルが所有する主要な3つの大型統合型リゾート施設、すなわちマンダレイ・ベイ・リゾート&カジノ、ルクソール・ホテル&カジノ、そしてエクスカリバー・ホテル&カジノを結ぶ連絡手段として整備されました。市民や観光客は無料で利用できる便利な交通機関となっています。

トラム路線は高架構造となっており、ラスベガス大通りの主要な交差点であるトロピカーナ通り付近のエクスカリバー・ホテル&カジノから始まり、ルクソール・ホテル&カジノを経由して、ストリップの最南端に位置するマンダレイ・ベイ・リゾート&カジノまで接続しています。この路線はケーブル駆動による複線システムで、並行する2本の線路を有しています。運行形態としては、全ての駅に停車する「緩行線」と、停車駅を絞った「急行線」が存在します。通常は両方の線路が使用されますが、閑散時など1本の線路のみを使用して1編成で運行する場合は、全4駅（エクスカリバー、ルクソール、マンダレイ・ベイ、そしてエクスカリバー・ノース）に停車します。

一方、利用客が多いピーク時には、2本の線路を同時に使用し、それぞれの線路を別々の列車が走行します。複線システムの一方は、エクスカリバー・ノース駅からマンダレイ・ベイ駅までをノンストップで走行する南行き急行線として機能します。この列車がマンダレイ・ベイに到着した後、北方向へは乗客を乗せずに回送運転となります。もう一方の線路では、エクスカリバー駅で乗客を降ろした後、ルクソールを経てマンダレイ・ベイへ向かう緩行線としての役割を担うか、または別の運用が行われます。特に、エクスカリバー・ホテルとその北側に位置するエクスカリバー・ノース駅間の配置は非対称になっており、これはトラムを利用することで各ホテルに立ち寄ることを奨励する設計思想に基づいているとされています。

マンダレイ・ベイ・トラムは、独立した2つのシャトルシステムが並走する形態をとっています。各システムとも5両で1編成の列車が運行され、1両あたり32名、1編成合計160名の乗客を輸送可能です。列車は乗客を乗せて片道走行した後、反対方向へは空の状態で戻るという運行サイクルです。列車は牽引ロープによって駆動され、空気入りタイヤで走行するため、非常に静かで滑らかな移動を提供します。最高速度は時速36キロメートルに達します。カスタム設計された車両は独特の外観を持ち、テレビCMに登場したことがあります。

トラムは、地上約5～8メートルの高さに建設された高架式のガイドウェイ上を走行します。ガイドウェイはモジュラー式の鋼管トラス構造を採用しています。各システムに使用されるワイヤーロープは直径33mmで、オーストリアのオーストリア・ドラート社製であり、現地でリチャード・ライアー社によって接合・テストが行われました。列車は、静止駆動機構や列車加速制御、速度制御、推進・ブレーキシステムによって精密に運行が管理されています。片道の走行時間は約220秒、駅での停車時間は約50秒と報告されています。

マンダレイ・ベイ・トラムの建設計画は、1998年9月2日にケーブルカーメーカーのドッペルマイヤー・ケーブル・カー（DCC）との間で契約が締結されたことに始まります。総工費は1,600万ドル（当時のレートで約17億円）を要し、契約締結からわずか9ヶ月後の1999年4月に完成・開業という短期間での実現となりました。開業初年度には、約2,100万人という非常に多くの乗客が利用し、その利便性の高さがうかがえます。運行時間は一般的に午前11時から午後10時30分までとされていますが、状況により変更される場合があります。

もう一度検索