マンフレッド・マン (バンド)

マンフレッド・マン：ブリティッシュビートの先駆者

マンフレッド・マンは、1960年代に英国で隆盛を極めたブリティッシュビート・バンドです。彼らは、ジャズとブルースを基盤としたサウンドに、ポップの要素を巧みに融合させ、独自の音楽性を確立しました。1962年の結成から1969年の解散までの短い活動期間でしたが、「ドゥ・ワ・ディディ・ディディ」や「マイティ・クイン」など、数々のヒット曲を世に送り出し、音楽史にその名を刻んでいます。

結成から初期の成功

マンフレッド・マンの起源は、マンフレッド・マン（キーボード）とマイク・ハグ（ドラム）がロンドンで結成した「マン・ハグ・ブルース・ブラザース」に遡ります。その後、マイク・ヴィッカーズ（ギター、サックス）、デイヴ・リッチモンド（ベース）、ポール・ジョーンズ（ボーカル、ハーモニカ）が加入し、バンドのラインナップが完成しました。バンドは「マンフレッド・マン・アンド・ザ・マンフレッズ」と改名し、ライブ活動を通じてその名を広めていきました。

1963年、バンドはHMVと契約し、プロデューサーのジョン・バージェスの提案でバンド名を「マンフレッド・マン」に短縮しました。初期の楽曲はチャートインこそしなかったものの、ジャズに影響を受けた高度な演奏技術と、木管楽器やハーモニカなどを多用した重厚なサウンドが特徴でした。

1964年、ITVのポップ・ミュージック・ショー「レディ・ステディ・ゴー」のテーマ曲として制作された「5-4-3-2-1」が、全英シングルチャートで5位を記録し、バンドは一躍脚光を浴びます。その後、エキサイターズのカバーである「ドゥ・ワ・ディディ・ディディ」が全英、カナダ、アメリカで1位を獲得し、世界的な成功を収めました。

ポップ路線への転換とメンバーチェンジ

「ドゥ・ワ・ディディ・ディディ」の成功を機に、バンドは初期のジャズやブルースの影響を受けた音楽から、よりポップなサウンドへと移行していきます。ガール・グループ、シュレルズのカバー「シャ・ラ・ラ」もヒットし、バンドの人気はさらに高まりました。しかし、この頃からメンバーの音楽性の違いが表面化し始めます。

ボーカルのポール・ジョーンズはソロ活動を志向し、マイク・ヴィッカーズはオーケストラや楽器への関心を深めていきました。1965年、ヴィッカーズが脱退し、ジャック・ブルース（ベース）が加入しますが、ブルースもすぐにクリーム結成のために脱退。その後、クラウス・フォアマン（ベース）が加入しました。1966年には、ポール・ジョーンズが脱退し、マイク・ダボが後任ボーカルとして加入しました。

マイク・ダボ時代と解散

マイク・ダボの加入後、バンドはフォンタナ・レコードに移籍し、シェル・タルミーをプロデューサーに迎えました。ボブ・ディランのカバー「女の如く」がヒットし、アルバム「アズ・イズ」もリリースされましたが、バンドの音楽性はさらにポップ化が進み、ジャズやブルースのルーツは薄れていきました。

1968年には、映画「アップ・ザ・ジャンクション」のサウンドトラックやアルバム「マイティ・ガーヴィ!」をリリース。「マイティ・ガーヴィ!」からは、ディランのカバー「マイティ・クイン」がシングルカットされ、バンドにとって3枚目の全英1位を獲得しました。しかし、メンバーはヒット・シングル・バンドとしてのイメージに不満を感じ、1969年に解散しました。

解散後

マンフレッド・マンとマイク・ハグは、広告音楽の制作や、ジャズロックバンド「マンフレッド・マン・チャプター・スリー」での活動を経て、1971年に「マンフレッド・マンズ・アース・バンド」を結成しました。アース・バンドは、「光に目もくらみ」などのヒット曲で成功を収めました。

1990年代には、オリジナルメンバーの一部が「ザ・マンフレッズ」を結成し、往年のヒット曲を演奏しました。マンフレッド・マンは参加しませんでしたが、ポール・ジョーンズとマイク・ダボが同じステージに立つこともありました。

マンフレッド・マンは、短い活動期間ながらも、ブリティッシュビートの隆盛に大きく貢献したバンドです。彼らの音楽は、時代を超えて今もなお、多くの音楽ファンを魅了し続けています。

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