マンモグラフィー

マンモグラフィーについて

マンモグラフィーとは、乳癌の早期発見を目的とする乳房のX線撮影技術のことを指します。この方法は、特に女性の健康管理において重要な役割を果たしています。マンモグラフィーは「乳房」+「画像」を組み合わせた言葉で、略称としてMMGとも呼ばれています。

近年では、陽電子放射マンモグラフィー（PEM）と呼ばれる新しい手法もアメリカを中心に普及しており、いくつかの日本の病院でも導入されていますが、本記事では主に従来のX線マンモグラフィーに焦点を当てます。

撮影方法

マンモグラフィーの検査は、受診者が上半身を裸にし、装置の前に立って乳房を撮影台に位置させることから始まります。この際、乳房は圧迫板と呼ばれるプラスチック製の板で強く押さえつけられ、厚みが約4〜5cmになるように圧迫されます。この圧迫により、撮影時の画質が向上しますが、乳房に張りのある女性には少しの苦痛を伴うことがあります。実際、過去には圧迫時にあばら骨を骨折する事故も報告されています。

通常、左右の乳房をそれぞれ2方向から撮影し、総計で4枚の画像が得られます。このようにして得られた画像は、乳腺内に存在する異常を見つけるために使用されます。

他のX線撮影装置との相違

マンモグラフィー検査は、通常のX線撮影とは異なり、使用されるX線の波長やエネルギーも特化しています。一般的なX線撮影（骨格検査）では約100kVの高い電圧が使われるのに対して、マンモグラフィーでは25〜35kV程度と、より低い電圧で行われます。これにより、技術的には低被曝で高解像度の画像を得ることが可能となるのです。

また、撮影機器自体も特殊なもので、乳房を圧迫するためにCアーム型の構造を持っています。このため、大型化してしまうことがありますが、巡回検診車に搭載できるように工夫された機種も存在します。

読影・診断

マンモグラフィーの画像を正確に診断するためには高度な読影技術が必要です。そのため、特別な訓練を受けた医師や技師が必要です。各国では、専門的な教育プログラムや資格制度が設けられており、これに基づいて質の高いマンモグラフィーの提供が行われています。

日本では、NPO法人である日本乳がん検診精度管理中央機構がこの教育や資格認定を一元的に行っています。そのため、正しい検診を受けるためには、こうした資格を持った医療機関を選ぶことが推奨されます。

しかし、近年、日本の一部自治体では乳房の形状によって癌を見落とす可能性があるにもかかわらず、受診者に「異常なし」と通知されるケースが多く報告されています。この点については、システムの改善が求められています。

海外での状況

アメリカでは、50歳から74歳の女性に対して、マンモグラフィー検診の利益がリスクを上回るため受診を勧められています。アメリカ放射線学会やアメリカがん協会は、40歳以上の女性に毎年の検診を推奨しています。一方で、カナダや欧州でも年齢に応じた検診推奨事項が発表されています。

ただし、頻繁な検診が引き起こすリスクについても懸念が存在し、特に不必要な手術や心理的苦痛を伴う可能性が指摘されています。このような様々な要因を考慮すると、万人に対して一律にマンモグラフィー検診を推奨すべきかどうかの議論が高まっています。

新たな技術—マイクロ波マンモグラフィー

最先端の技術として、マイクロ波を利用したマンモグラフィーも開発されています。X線による被曝のリスクを無くし、より鮮明に腫瘍を検出することが可能です。これにより、従来のX線では見逃されがちだった腫瘍も検出できる可能性があります。

マンモグラフィーは、乳癌の早期発見に向けて非常に重要な検査手法です。しかし、その正確性と安全性を確保するためには最新の知識と技術が必要とされます。

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