マーク・アンドリーセン

マーク・ローウェル・アンドリーセン（Marc Lowell Andreessen）は、1971年7月9日生まれのアメリカ合衆国のソフトウェア開発者、投資家です。彼は、初期のインターネットの普及に大きな役割を果たしたウェブブラウザ「NCSA Mosaic」と「Netscape Navigator」の開発者として広く知られています。

アンドリーセンはアイオワ州で生まれ、イリノイ大学在籍中にNCSA（米国立スーパーコンピュータ応用研究所）で「Mosaic」の開発に携わりました。「Mosaic」は、当時としては革新的なグラフィカルなインターフェースを備え、それまで専門家向けだったインターネットを一般の人々にも利用可能にするきっかけとなりました。当初はUNIXのX環境のみで動作していましたが、その後、MacintoshやWindows版も開発されました。

しかし、NCSAが「Mosaic」の権利を主張したため、アンドリーセンはNCSAを離れました。その後、1993年に事業家のジム・クラークからのメールをきっかけに、共同でモザイクコミュニケーションズ（後にネットスケープコミュニケーションズに社名変更）を設立しました。ここで、アンドリーセンは「Mosaic」のコードを破棄し、新たに「Netscape Navigator」を開発しました。

「Netscape Navigator」は、当時としては非常に画期的なウェブブラウザであり、その成功によりネットスケープコミュニケーションズは1995年に株式公開（IPO）を果たしました。当時23歳だったアンドリーセンは、このIPOにより一夜にして巨万の富を得て、アメリカを代表する富豪となりました。この成功は、「レンタカーを借りられる年齢になる前に億万長者になった」と形容されました。

しかし、その後の競争環境は厳しく、マイクロソフトの「Internet Explorer」の登場により、「Netscape Navigator」のシェアは徐々に低下しました。その結果、ネットスケープコミュニケーションズの業績も悪化し、1998年11月24日にAOL（アメリカ・オンライン）に買収されることになりました。アンドリーセンはAOLに移籍しCTO（最高技術責任者）に就任しましたが、1999年9月にはその職を辞してAOLを退社しました。

1999年、アンドリーセンはラウドクラウドを設立し、ホスティングやWebサイト管理サービスのアウトソーシングを提供しました。2001年にIPOを行い、2002年にはホスティング事業をEDS社に売却し、ソフトウェアベンダーに事業転換しました。その後、データセンターなどの管理ソフトウェアの開発に専念し、社名をOpswareに変更しました。Opswareは、2007年9月にHP（ヒューレット・パッカード）に16億ドルで買収されました。

2005年には、ウェブアプリケーションを簡単に開発できるツールであるNingを立ち上げました。これはオープンな開発プロジェクトとして展開されました。さらに、2008年6月30日にはFacebookの取締役に就任、2009年9月17日にはHPの取締役にも就任しています。

そして、2009年7月6日には、ベン・ホロウィッツと共にベンチャーキャピタル会社のアンドリーセン・ホロウィッツを共同で設立しました。アンドリーセン・ホロウィッツは、数多くのスタートアップ企業に投資を行い、テクノロジー業界に大きな影響を与えています。また、2013年にはクイーンエリザベス工学賞を受賞しています。

アンドリーセンのキャリアは、単に技術開発だけでなく、ビジネスにおいても大きな成功を収めたことを示しています。彼は、インターネットの黎明期から現代に至るまで、常に革新的な技術とビジネスモデルを追求し、世界に大きな影響を与え続けています。

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