マービン・レノアー

マービン・レノアー（Marvin Lenoar、1966年 8月25日生まれ）は、アメリカ合衆国出身の音楽家であり、その活動は多岐にわたる。主にドラマーとして知られているが、作詞、作曲、音楽プロデュース、ラップ、ボーカルなども手掛け、他のミュージシャンへの楽曲提供も積極的に行っている。また、日米両国を拠点に活動し、数多くの著名アーティストとの共演歴を持つ。

略歴

マービン・レノアーは、1966年にアメリカ合衆国ミシガン州デトロイトにて、9人兄弟の末っ子として誕生した。音楽が身近にある環境で育ち、母親はピアノ奏者、そして複数の兄たちもピアノ、ギター、ドラムといった楽器を演奏するミュージシャンであった。特に、兄の一人であるダーネル・キンブローは、現在日本を拠点に活動するプロフェッショナルなギタリストである。

彼の音楽の旅は、9歳で始まった。教会のゴスペル音楽に強く心を動かされ、ドラム演奏に惹きつけられたのがきっかけである。その後、さらに専門的な知識と技術を磨くため、チャールズ・バニスター・ドラムスクールに入学。この学校は、マイケル・ジャクソンの専属ドラマーとして知られるリッキー・ローソンなども輩出した名門であり、彼はここでプロの音楽家として必要な高度な技術と理論を習得した。

専門学校での学びを経て、マービン・レノアーはプロミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせた。1990年にツアーの一員として日本を訪れたことが、彼の活動に大きな転機をもたらした。この来日を契機に、彼は日本にも活動拠点を置くことを決め、以来、アメリカと日本の両国を行き来しながら精力的に活動を展開している。ジャズピアニストのクリヤ・マコトのアルバムに参加するなど、様々なジャンルの音楽家と共演を重ねていった。

彼の活動は演奏だけに留まらない。2001年には、自身の会社「有限会社スフィア」を設立。この会社を通じて、イベントの演出やアーティストのマネジメントなど、音楽ビジネス全般にわたる事業も手掛けるようになった。

2005年には、世界的なドラムメーカーであるTAMAの契約アーティストとして名を連ねる。同年、日本で開催された国際博覧会「愛・地球博」にも出演し、そのパフォーマンスを披露した。また、この年から歌手の倉木麻衣のバンドメンバーとしても活動を開始。以降、倉木麻衣の国内ツアーやテレビ出演、カウントダウンライブなど、主要な活動を共に支え、2007年には倉木麻衣にとって初の海外公演となった台湾公演にも参加した。

音楽プロデュースの分野でも活躍しており、2007年から2008年にかけては、プロ野球球団・中日ドラゴンズのチアリーディングチーム「チアドラゴンズ」のために楽曲提供やプロデュースを行った。その他にも、2007年には歌手SILVAのレコーディングに参加するなど、多方面からのオファーに応えている。

2009年には、アメリカの人気R&Bシンガー、ニーヨの日本ツアーにおいてオープニングアクトを務めたJASMINEのバンドメンバーとして参加。翌2010年には、JASMINEのドラマーとして国内最大級の音楽フェスティバルであるサマーソニックに出演。さらに、招待制のZeppツアーやGOLDツアーにも参加し、その演奏力を示した。また、同年には大黒摩季の楽曲「Anything Goes!」のプロモーションビデオにも出演している。

音楽活動のみならず、俳優としても新たな一面を見せている。2011年公開の映画「明日泣く」（監督：内藤誠、主演：斎藤工、汐見ゆかり）では、ジャズドラマーのクレイグ・ハンター役として出演を果たした。

近年では、2022年から上田正樹R&Bバンドに参加。全国ツアーやレコーディングなど、精力的に活動を共にしている。

マービン・レノアーは、ドラマーとしての確かな技術と表現力に加え、作詞作曲、プロデュース、そして俳優業に至るまで、幅広い才能を持つアーティストとして、日米の音楽シーンにおいて重要な存在感を放ち続けている。

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