マーメイドライン

金田一蓮十郎『マーメイドライン』

『マーメイドライン』は、金田一蓮十郎によって描かれた日本の漫画作品です。『コミック百合姫』（一迅社）にて2006年から2007年にかけて連載され、全1巻としてまとめられました。本作は、様々な形の少女たちの関係性を描いた短編集であり、繊細な感情表現と心温まるストーリーが魅力です。

あらすじ

『マーメイドライン』は、以下の4つの物語で構成されています。

「めぐみとあおい」

クラスで孤立しがちな華屋敷めぐみと、彼女に惹かれる烏丸あおい。あおいは、めぐみから向けられる特別な感情に気づきながらも、親友として関係を築こうとします。しかし、周囲の心ない言葉がきっかけで、二人の関係は崩れてしまいます。

「あゆみとあいか」

あゆみは、結婚を考えていた恋人の竜之介から突然別れを告げられます。竜之介は、自身を女性と認識する性同一性障害者だったのです。「あいか」としてあゆみの前に現れた竜之介。あゆみは吹っ切れる覚悟を決めますが、あいかはあゆみへの変わらぬ想いを打ち明けます。

「ゆかりとまゆこ」

愛人に振られたまゆこの傷を癒すため、ゆかりはまゆこと「恋人ごっこ」を始めます。しかし、何気なく始めた関係の中で、ゆかりはまゆこの存在が気になり始めます。

「三浦さんと私」

岡部は、クラスメイトの三浦さんの美しい髪に魅了され、触れてみたいという気持ちを抱きます。日常のささやかな感情を描いた作品です。

登場人物

「めぐみとあおい」

華屋敷 めぐみ

『人魚姫』が好きな少女。あおいに想いを寄せていますが、その気持ちを隠して親友として接しようとします。周囲からあおいとの関係を噂され、いじめを受けるようになり、亮介と交際することで、あおいの側にいられる自分になろうとします。自身のセクシュアリティについては明確な自認がないため不明です。

烏丸 あおい

異性愛者。めぐみの想いに気づいていますが、自分とめぐみの「好き」の形が違っても良いと考えています。しかし、周囲にレズだと囃し立てられた際、「私は違う」と否定してしまい、めぐみへのいじめを助長してしまいます。

蔵田 亮介

めぐみとあおいのクラスメイト。以前からめぐみに好意を抱いており、いじめを受けるようになった彼女を助けます。

「あゆみとあいか」

あゆみ

竜之介の恋人。女性の心を持って女性である自分を愛しているという竜之介（あいか）の告白に戸惑いながらも、あいかを「可愛い彼女」として受け入れます。

あいか（竜之介）

性同一性障害（MtF）のレズビアン。金田一蓮十郎は、自身が過去に手掛けた『ハレのちグゥ』のベルや『ニコイチ』の真琴で描き切れなかった部分を表現したキャラクターだと語っています。
由季
　　あゆみのバイト仲間

「ゆかりとまゆこ」

ゆかり

まゆこの傷を癒すために恋人ごっこを始めますが、まゆこのことが気になり始めます。

まゆこ

上司と愛人関係にありましたが、振られてしまいます。異性愛者です。

「三浦さんと私」

岡部

三浦さんの美しい髪に触れてみたいと思っています。

三浦

髪が綺麗です。

『マーメイドライン』は、少女たちの繊細な感情と揺れ動く人間関係を丁寧に描き出した作品です。各エピソードを通じて、友情、愛情、そして自己との葛藤が描かれ、読者の心に深く響くことでしょう。

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