ミエチスラオ・マリア・ミロハナ

ミエチスラオ・マリア・ミロハナ（1908年 11月21日 - 1989年2月15日）は、ポーランドに生まれ、日本で長く活動したカトリック教会の司祭であり、コンベンツアル聖フランシスコ修道会の修道士です。彼はまた、「けがれなき聖母の騎士聖フランシスコ修道女会」の創立者としても知られています。

生涯と修道生活

アントニオ・ミエチスラオ・ミロハナとして、1908年 11月21日にポーランド南部の都市ボフニヤで生を受けました。ヴォイチェフとマリア夫妻の4人目の子供でした。若くして宗教的な道を選び、1926年6月にはコンベンツアル聖フランシスコ修道会に入会。修練期を経て、1929年9月15日に最初の誓願を宣立しました。

ミロハナ師の生涯における重要な転機は、1930年に訪れます。当時、長崎からポーランドに一時帰国していた、同じ修道会の先輩であるマキシミリアノ・コルベ神父と出会ったのです。この出会いが、彼を遠く離れた日本へと導くことになります。

来日と日本での活動

1930年8月25日、弱冠22歳だったミロハナ師は、コルベ神父に同行してポーランドを出発。シベリアを経由する長旅を経て、日本の長崎に到着しました。その後、日本での修道生活を深め、1931年9月16日には終生誓願を宣立し、コンベンツアル聖フランシスコ修道会士としての生涯を神に捧げる決意を固めました。

司祭叙階は、1935年9月29日に東京で行われました。ジャン・アレキシス・シャンボン大司教の手によって司祭に叙階されたミロハナ師は、以降、日本のカトリック教会、特にコンベンツアル聖フランシスコ修道会の発展のために多岐にわたる活動を展開します。

1936年から1941年にかけては、長崎県にあった聖母の騎士小神学校の校長を務め、次世代の司祭育成に携わりました。また、1937年から1965年までの長きにわたり、月刊誌『聖母の騎士』の編集発行責任者として、信仰の普及と啓蒙に努めました。修道会内部においては、1940年から1952年までコンベンツアル聖フランシスコ会修道院の院長を務めると同時に、日本準管区長代行の重責を担いました。さらに、1941年から1957年までの間、日本準管区における修練長として、修道士の養成にも深く関わりました。

社会福祉と修道女会創立

ミロハナ師の活動は、信仰生活や修道会の運営にとどまりませんでした。戦後の困難な時代にあって、彼は社会福祉の分野にも目を向け、恵まれない人々への支援を決意します。1946年には、養護施設「聖母の騎士園」を設立し、孤児や家庭環境に恵まれない子供たちの育成に取り組みました。さらに、1948年には高齢者のための施設「聖母の騎士養老院」を開設し、1958年までその施設長を務め、高齢者福祉の向上に貢献しました。

彼の日本における最も重要な功績の一つに、「けがれなき聖母の騎士聖フランシスコ修道女会」の創立があります。1949年12月8日、カトリック教会が無原罪の聖母を記念する祭日に、ミロハナ師はこの修道女会を創立しました。これは、戦後日本の状況の中で、信仰と奉仕の精神をもって社会に貢献する女性たちの共同体を育むための試みでした。この修道女会は、ミロハナ師の精神を受け継ぎ、教育や福祉の分野で活動を続けています。

晩年と評価

長年にわたる日本でのカトリック伝道、修道会運営、そして特に社会福祉分野への献身的な貢献は高く評価されました。1969年には、日本政府より勲四等瑞宝章を受章。他にも社会福祉事業功労者として、多数の賞を受けています。

ミエチスラオ・マリア・ミロハナ師は、1989年2月15日、自らが長く活動の拠点とした長崎県諌早市小長井町にて、その生涯を終えました。彼は、ポーランドからの宣教師として、日本のカトリック教会に貢献しただけでなく、戦後の困難な時代における社会福祉の推進にも大きな足跡を残した人物として記憶されています。彼の創立した修道女会や社会福祉施設は、現在もその活動を継続しており、ミロハナ師の遺志を受け継いでいます。

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