ミカ書

『ミカ書』は、旧約聖書に収録されている文書の一つで、ユダヤ教では「後の預言者」に、キリスト教では預言書に分類されています。キリスト教における十二小預言書の中では6番目に位置づけられています。伝統的に、紀元前8世紀に活躍した預言者ミカが著者とされています。

著者について

『ミカ書』の冒頭（1章1節）によれば、預言者ミカはモレシェト出身で、預言者イザヤと同時代に活動していました。彼の預言活動は、主に故郷モレシェトで圧政に苦しむ人々のために行われました。ミカの活動は、旧約聖書のエレミヤ書26章17～18節にも記録されています。

概説

『ミカ書』は全7章で構成されています。現代の聖書研究では、ミカ自身が実際に書いたとされるのは1章1節から2章11節、そして3章1節から12節の部分であると考えられています。

本書の中でミカは、支配階級によって抑圧されている人々の苦しみに深く共感し、不正を行う人々（賄賂を受け取って依頼人に都合の良い預言をする預言者や祭司など）を厳しく批判しています。ミカは彼らに神の裁きと滅びが迫っていることを警告しています。

構成

『ミカ書』の構成は以下の通りです。

表題（1:1）
神の審判（1:2～2:11）
残りの者への約束（2:12～13）
横暴な為政者、悪しき預言者、貪欲な祭司に対する裁き（3:1～12）
神の栄光の王国（4～5章）
主とイスラエルの論争（6:1～7:6）
主による勝利（7:7～20）

この構成は、いのちのことば社発行の『新聖書辞典』の「ミカ書」の項目に基づいています。

新約聖書における引用

『ミカ書』のいくつかの箇所は、新約聖書にも引用されています。

5章1節では、ベツレヘムから将来のユダの指導者が出ると預言されています。この箇所は、『マタイによる福音書』2章6節で引用され、イエス・キリストの誕生を預言するものとして解釈されています。
* 7章6節では、民の腐敗した状態が描かれています。この箇所は、『マタイによる福音書』10章35～36節で引用され、イエスに従うことによって家族間にも対立が生じる可能性を示唆するものとして用いられています。

このように、『ミカ書』は旧約聖書における重要な預言書の一つであり、そのメッセージは新約聖書にも深く影響を与えています。

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