十二小預言書

十二小預言書は、キリスト教において旧約聖書の一部を構成する文書群であり、ヘブライ語聖書では「十二巻」と称されます。この名称は、12の預言書が一つにまとめられていることに由来します。

これらの預言書は、それぞれ独立した文書として、ユダ王国およびイスラエル王国の末期から、両王国が滅亡した後、バビロン捕囚を経て、紀元前2世紀から3世紀頃までの間に書かれたと考えられています。各書は比較的短く、最も長いとされる『ホセア書』と『ゼカリヤ書』でも14章しかありません。そのため、これら12の預言書をまとめて「小」預言書と呼ぶことがあります。対照的に、イザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書、ダニエル書は「大」預言書と呼ばれています。

これらの文書には、共通する主題がいくつか見られます。特に顕著なのは、神の怒りとその罰としての滅び、そして神との和解と復興のテーマです。預言者たちは、神の民の不義や偶像崇拝を厳しく批判し、その結果として訪れるであろう滅亡を警告します。しかし、同時に、神は決して見捨てず、悔い改めるならば必ず赦し、再び民を祝福するとも約束しています。この希望と救済のメッセージは、十二小預言書全体を通して繰り返し語られています。

各預言書には、独自の歴史的背景や預言者のメッセージがあり、それぞれが異なる視点から神の御心を伝えています。例えば、『ホセア書』は、預言者ホセア自身の結婚生活を象徴的に用いて、神とイスラエルの関係を語ります。また、『ヨエル書』は、蝗害を通して神の裁きと悔い改めを呼びかけます。アモス書は社会的不公正を批判し、オバデヤ書はエドムに対する裁きを預言します。

『ヨナ書』は、預言者が神の命令に背きながらも最終的には神の御心に従う物語を通して、神の慈悲深さを伝えています。『ミカ書』は、正義と公正を求め、メシアの到来を預言します。ナホム書はニネベの滅亡を預言し、ハバクク書は、不義が栄える中で神の正義を問い求めます。

『ゼパニヤ書』は、神の裁きの日を警告し、悔い改めを促します。ハガイ書は、エルサレム神殿の再建を促し、ゼカリヤ書は、神殿再建とメシアの到来を預言します。マラキ書は、祭司の腐敗を批判し、神との契約の重要性を強調します。

十二小預言書は、それぞれが短いながらも、神の民に対する警告、希望、そして救いのメッセージを力強く伝えています。これらの預言書は、旧約聖書の他の書と同様に、キリスト教の信仰において重要な役割を果たしています。また、そのメッセージは、現代社会においても十分に適用可能であり、私たちに神の御心に従って生きることを教えてくれます。

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