ミクロマンシリーズ

ミクロマン：小さきヒーローの軌跡

ミクロマンは、株式会社タカラ（現・タカラトミー）が1974年から展開した、オリジナルキャラクターの男児向け玩具シリーズです。約1/18スケール（約10cm）の関節可動人形を中心に、乗り物や基地、武器など多彩な商品が展開されました。

誕生の背景

1960年代のアメリカでは、マテル社のバービー人形やハズブロ社のG.I.ジョーといった着せ替え人形が人気を博していました。日本でもタカラが、これらの影響を受け、リカちゃんや変身サイボーグを開発。特に変身サイボーグは、着せ替えだけでなくパーツ交換による「変身」を特徴とし、男児向け玩具として独自の地位を確立しました。

しかし、変身ブームの終焉とともに、変身サイボーグは1974年頃に販売を終了。その後継として、同年7月に誕生したのが、小型可動人形「ミクロマン」でした。

ミクロマンの特徴

ミクロマンは、約10cmという手乗りサイズでありながら、変身サイボーグ譲りの関節可動を実現。透明ボディやメッキパーツなど、SF的な雰囲気をまとい、新たなシリーズとして展開されました。ダウンサイジングに加え、乗り物などを組み立て式にすることでコストを抑え、手頃な価格帯を実現。子供たちがコレクションしやすい商品として、タカラの主力商品へと成長しました。

初期のミクロマンはシンプルな可動人形でしたが、1975年には背中に5mmジョイント穴が設けられ、乗り物やパーツとの互換性が向上。ブロック玩具のような自由な組み合わせが可能となり、プレイバリューが飛躍的に向上しました。また、半年ごとの新キャラクター・新商品の投入により、常に新鮮さを保ち、子供たちの興味を引きつけ続けました。

ミクロマンは、単なるミニチュア玩具ではなく、「身長10cmの宇宙人」という設定を持つ実物大の人形でした。これにより、子供たちは人形への感情移入を超え、よりリアルな世界観の中で遊ぶことができました。

シリーズの変遷

1974年の誕生以来、ミクロマンは長年にわたり定番商品として展開されました。しかし、1980年代に入ると、ガンプラやLSIゲーム、家庭用ゲーム機などが台頭し、ミクロマンの人気は徐々に衰退。

タカラは、1980年に新たなSF玩具シリーズ「ダイアクロン」をスタート。ミクロマンも設定を一新し、変形ロボットを主体とした「ニューミクロマン」として再出発しました。さらに、実在の銃や日用品が変形する「ミクロチェンジシリーズ」が登場するなど、新たな展開を模索しました。

ダイアクロンも同様に、実在の乗り物が変形するロボットを中心とした展開となり、アメリカのHASBRO社との提携により、両シリーズは「TRANSFORMERS」としてローカライズされ、世界的な人気を獲得。日本にも逆輸入され、一大ブームを巻き起こしました。しかし、1985年には、ミクロマンのブランドは惜しまれつつも消滅しました。

13年の時を経て、1998年にミクロマンはアニメとの連動企画として復活。旧ミクロマンの復刻版も発売されるなど、フィギュアブームとハイターゲット層のコレクション市場の成熟を背景に、ブランドが再評価されました。

その後も、「ミクロマン200X」や「ミクロマンアーツ」といったハイターゲット向けフィギュアシリーズが展開されましたが、2015年以降、新たな展開は見られていません。

主なシリーズ

ミクロマン (1974-1980)：初期シリーズ。可動人形としての基本構造を確立。
ニューミクロマン (1981-1985)：変形ロボットを主体としたシリーズ。トランスフォーマーの源流。
ミクロマン21 (1996)：浪曼堂による旧作の復刻シリーズ。
ミクロマン復刻版 (1998)：タカラによる旧作人形の復刻シリーズ。コラボ商品も多数。
ミクロマン・マグネパワーズ (1998-2001)：磁石を内蔵したミクロマン。アニメ化もされた。
ミクロマン200X (2003-)：現代技術で再構築されたハイターゲット向けシリーズ。
ミクロマンアーツ (2014-)：タカラトミーアーツによる、美少女コンテンツとのコラボシリーズ。

類似玩具

ベータミゼット (バンダイ)
アッセンブルボーグ (海洋堂)
Get Ride! アムドライバー (コナミ)
武装神姫 (コナミ)
ビクトラー (ポピー)

ミクロマンは、その小さなボディに無限の可能性を秘めた、日本の玩具史に残る名作と言えるでしょう。

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