ミケロッツォ・ディ・バルトロメオ

ミケロッツォ・ディ・バルトロメオ（Michelozzo di Bartolomeo、1396年 - 1472年）は、初期ルネサンスを代表する彫刻家、建築家の一人です。フィリッポ・ブルネッレスキやレオン・バッティスタ・アルベルティほどの突出した才能を持つとは評されませんが、その実直で洗練された作風は、同時代の建築界において確固たる地位を築きました。

彼は、ミケロッツォ・ミケロッツィとも呼ばれることもあります。ミラノにブルネッレスキのデザインを伝えた人物としても知られ、その影響力は広い範囲に及びました。

生涯とキャリア

ミケロッツォは、フィレンツェでバルトロメオ・ディ・ゲラルドの子として生まれました。1417年からは、ロレンツォ・ギベルティの工房で彫刻家としての修行を始めます。その後、独立したミケロッツォは、1425年にドナテッロと共同でアトリエを設立し、彫刻家として活躍しました。1430年頃からは、建築の設計にも携わるようになり、その才能を遺憾なく発揮します。

1446年には、フィレンツェ大聖堂の建築を引き継ぎ、ブルネッレスキの未完の仕事を完成させました。彼の建築デザインは、ブルネッレスキの影響を強く受けているものの、ミケロッツォ独自の繊細さと優美さが感じられます。彼の建築スタイルは、ミラノからロンバルディアにかけて広まり、その影響は後世にも及びました。

主要作品

ミケロッツォは、数多くの重要な建築物を手がけており、その代表作をいくつか紹介します。

パラッツォ・メディチ・リッカルディ（フィレンツェ）：1444年に設計され、1464年に完成したこの建物は、メディチ家の邸宅として建てられました。ルネサンス建築の傑作として知られ、その均整の取れたデザインは、後世の建築に大きな影響を与えました。パラッツォ・メディチ、とも表記されます。
サン・マルコ教会の聖具室および図書館（フィレンツェ）：1437年に起工し、1443年に完成したこの建物は、初期ルネサンス建築の重要な事例です。シンプルでありながらも、洗練されたデザインが特徴です。
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会（ピストイア）：1452年に起工されたこの教会は、ミケロッツォの宗教建築における重要な作品の一つです。
ポルティナーリ礼拝堂（ミラノ）：1462年に起工し、1466年に完成したこの礼拝堂は、ミケロッツォがミラノで手がけた数少ない建築物の一つであり、その建築様式は、ロンバルディア地方にも影響を与えました。

影響と評価

ミケロッツォは、その才能を発揮し、初期ルネサンス建築の発展に大きく貢献しました。彼の作品は、ブルネッレスキの影響を受けつつも、独自の洗練された美意識が感じられます。その建築は、後世の建築家たちに大きな影響を与え、ルネサンス建築の発展に不可欠な存在として評価されています。

参考文献

ジョルジョ・ヴァザーリ著　森田義之監訳『ルネサンス彫刻家建築家列伝』（白水社）

関連項目

* ルネサンス建築

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