ミゲル・デリーベス

ミゲル・デリーベス

ミゲル・デリーベス・セティエン（Miguel Delibes Setién, 1920年10月17日 - 2010年3月12日）は、20世紀後半のスペイン文学を代表する重要な小説家の一人です。スペイン王立アカデミー会員としてもその名を馳せました。

略歴

1920年、カスティーリャ地方のバリャドリッドに生を受けました。若き日はスペイン内戦の混乱期にあり、この影響で大学への進学を断念せざるを得ない時期がありました。作家としてのキャリアは、1948年に発表した第一長編小説『糸杉の影は長い』（原題：La sombra del ciprés es alargada）で始まり、この作品により権威あるナダール賞を受賞し、一躍注目を集めました。

その後も精力的に執筆活動を続け、その文学的な功績はスペイン国内外で高く評価されました。1955年には『ある猟師の日記』（原題：Diario de un cazador）で国民文学賞（Premio Nacional de Literatura）を受賞。これは彼の作家としての地位を確固たるものとする出来事でした。

スペイン文学界におけるその長年の貢献が認められ、1975年にはスペイン王立アカデミーの会員に選ばれました。これは、作家として最高の栄誉の一つとされています。さらに、1982年にはアストゥリアス皇太子賞（文学部門）（Premio Príncipe de Asturias de las Letras）を受賞。この賞は、スペイン語圏で最も権威ある文学賞の一つとして知られています。

1991年にはスペイン国民文学賞（Premio Nacional de las Letras Españolas）を、1993年にはセルバンテス賞を受賞しました。セルバンテス賞は「スペイン語圏のノーベル文学賞」とも称されるほど、スペイン語文学界における最高の栄誉です。これらの受賞は、デリーベスが現代スペイン文学に与えた影響の大きさを物語っています。

晩年に至っても創作意欲は衰えず、1998年に発表した小説『異端者』（原題：El hereje）により、1999年に再びスペイン国民文学賞（小説部門）（Premio Nacional de Narrativa）を受賞するなど、その文学的才能は最晩年まで輝きを放ち続けました。

主要作品

ミゲル・デリーベスは、現実的な筆致でカスティーリャ地方の風景や人々、日常生活、社会問題を深く描いた作品を数多く発表しました。彼の代表的な作品には以下のようなものがあります。

La sombra del ciprés es alargada (1948年)
El camino (1950年) - 『エル・カミーノ（道）』（彩流社、2000年）
Diario de un cazador (1955年)
La hoja roja (1959年) - 『赤い紙』（彩流社、1994年）
Las ratas (1962年) - 『ネズミ』（彩流社、2009年）
Cinco horas con Mario (1966年) - 『マリオとの五時間』（彩流社、2004年）
Los santos inocentes (1981年)
Señora de rojo sobre fondo gris (1991年) - 『灰地に赤の夫人像』（彩流社、1995年）
El hereje* (1998年) - 『異端者』（彩流社、2002年）

晩年

長年にわたりスペイン文学界を牽引してきたミゲル・デリーベスは、晩年は病と闘い、2010年3月12日、直腸癌のため惜しまれつつも89歳でこの世を去りました。彼の作品は今なお多くの読者に愛され、スペイン文学の古典として読み継がれています。

関連人物

フランスの著名な作曲家であるレオ・ドリーブは、ミゲル・デリーベスの大おじ（祖父の兄弟）にあたる人物です。このように、デリーベス家は芸術の分野で才能を発揮した人物を輩出しています。

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