バリャドリッド

バリャドリッドは、スペイン北西部に位置するカスティーリャ・イ・レオン州の州都であり、同州最大の都市です。ピスエルガ川がドゥエロ川に合流する地点近くに位置し、スペイン中北部の交通の要衝として、また農業地帯の集積地としても重要な役割を担っています。

地理と気候

バリャドリッドは、標高約735メートルの内陸部に位置し、周辺には広大なメセタが広がっています。このため、年間を通して乾燥した気候が特徴で、地中海性気候に分類されるものの、ステップ気候の影響も色濃く残ります。夏は暑く、冬は寒さが厳しく、霧が発生しやすい気候です。

周辺はスペイン有数のワイン産地であり、リベラ・デル・ドゥエロ、ルエダなど、5つの原産地呼称を持つワイン産地が存在します。

歴史

古くはケルト人が居住していましたが、ローマ帝国、西ゴート王国を経て、イスラム勢力の支配下に置かれた時代もあります。11世紀にはレオン王国の下で都市が建設され、キリスト教勢力にとって重要な拠点となりました。

1346年にはバリャドリッド大学が設立され、学術の中心地としての発展を遂げます。15世紀には、カスティーリャ女王イサベルとアラゴン国王フェルナンドの婚礼がこの地で行われ、スペイン王国成立の重要な契機となりました。16世紀にはスペイン王フェリペ2世がこの地で誕生しましたが、後に宮廷はマドリードへ移され、バリャドリッドは一時的に衰退の時期を迎えます。17世紀には、スペインを代表する作家であるミゲル・デ・セルバンテスが一時この地に住んでいました。

19世紀には鉄道の開通を機に再び工業都市として発展し、20世紀にはルノーなどの外国企業も進出しました。1983年にカスティーリャ・イ・レオン州が設置されると、その州都としての役割も担うようになりました。

政治と社会

バリャドリッドは、市長と市議会議員が行政を担う基礎自治体です。選挙で選ばれた市議会議員の中から市長が選出される仕組みです。教育面では、伝統あるバリャドリッド大学やミゲル・デ・セルバンテス・ヨーロッパ大学などの高等教育機関が立地しています。

文化

バリャドリッドには多くの歴史的建造物があり、サン・パブロ教会やバリャドリッド大聖堂などが有名です。また、スペイン国立彫刻博物館、コロンブス邸博物館など、文化施設も充実しています。

1956年から開催されているバリャドリッド国際映画祭は、ヨーロッパ有数の歴史を持つ映画祭として知られています。

スポーツ

サッカーではレアル・バリャドリッドがプリメーラ・ディビシオンに所属し、バスケットボールやハンドボールでもプロチームが活動しています。ラグビーユニオンはスペインではマイナースポーツですが、バリャドリッドは「ラグビーの町」として知られ、国内トップリーグで多くの優勝クラブを輩出しています。

交通

バリャドリッド空港は、州内の中核空港として機能しており、スペイン各地と結ばれています。高速鉄道AVEによってマドリードとは約1時間で結ばれており、国内の主要都市とのアクセスも便利です。また、高速道路網も整備されており、周辺都市への移動も容易です。

主な出身者

カスティーリャ王サンチョ4世、枢機卿フアン・デ・トルケマダ、カスティーリャ王エンリケ4世、スペイン王フェリペ2世、スペイン王フェリペ4世、ルイ13世王妃アンヌ・ドートリッシュ、詩人ホセ・ソリージャ、著作家ミゲル・デリーベス、スペイン首相ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロなどが、この地で生まれています。

姉妹都市

メキシコのモレリア、フランスのリール、アメリカのオーランド、イタリアのフィレンツェとレッチェ、インドのアフマダーバードと姉妹都市提携を結んでいます。

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