ミシェル・コンスタンタン

ミシェル・コンスタンタン

ミシェル・コンスタンタン（Michel Constantin）は、1924年7月13日にフランスのパリで生まれ、2003年8月29日にその生涯を閉じたフランスの俳優です。彼は、義理堅く、男気あふれるキャラクターを演じることに長けており、その存在感で多くの作品に深みを与えました。

ジョゼ・ジョヴァンニ作品との深いつながり

コンスタンタンのキャリアにおいて特筆すべきは、イタリア出身の映画監督であるジョゼ・ジョヴァンニとの協業です。彼はジョヴァンニが監督した作品だけでなく、その原作小説を基にした作品にも数多く出演しました。ジョヴァンニの世界観である、裏社会に生きる男たちの生き様や宿命を描いた物語において、コンスタンタンの得意とする役柄が重要な役割を果たしました。

特筆すべき出演作品

彼の出演作の中で特に注目されるのは、ジョゼ・ジョヴァンニの同名小説『ひとり狼』（原題：L'Excommunié）を原作とする二つの映画です。一つは1961年の『勝負をつけろ』、もう一つは1972年の『ラ・スクムーン』です。これらの作品は、共にジャン＝ポール・ベルモンドが主演を務めており、同じ原作から生まれ、かつ主演と主要な出演者が共通しているという点で、映画史においても興味深い例とされています。コンスタンタンも両作に出演し、物語の重要な要素を担いました。

また、1976年に公開されたボー・スヴェンソン主演の『地獄のバスターズ』も重要な作品です。この作品は、日本では劇場公開されませんでしたが、クエンティン・タランティーノ監督が個人的に高く評価しており、彼の作品『イングロリアス・バスターズ』の着想源の一つとなったことで知られています。奇しくも、『イングロリアス・バスターズ』には『地獄のバスターズ』で主演を務めたボー・スヴェンソン自身も出演しています。

日本におけるミシェル・コンスタンタン

コンスタンタンの出演作は、残念ながら日本では劇場公開されなかったものが多数存在します。ジョヴァンニ原作、リノ・ヴァンチュラ主演、ジャン＝ピエール・メルヴィル監督という豪華な顔合わせでありながら日本でも公開された1966年の『ギャング』でさえ、日本独自に約30分もの大幅なカットが行われており、彼の演技や存在感が十分に伝わりにくかった側面があります。映画評論家の古山敏幸が著書『映画伝説ジャン＝ピエール・メルヴィル』で触れているように、このような事情から、日本においてミシェル・コンスタンタンの出演作品は十分な形で紹介されてきたとは言い難い状況が見受けられます。

主な出演作品（一部）

穴（1960年）
勝負をつけろ（1961年）
男たちの掟（1965年）<未公開>
女王陛下のダイナマイト（1966年）
黒豹は死なず（1966年）
ギャング（1966年）
闇をつきぬけろ・真夜中の大略奪（1967年）<未公開>
アルデンヌの戦い（1968年）
サファリ大追跡（1969年）
最後のアドレス（1969年）<未公開>
生き残った者の掟（1967年）
狼の挽歌（1970年）
夜の訪問者（1970年）
汚れた刑事（でか）（1970年）
ギャング無残（1971年）<未公開>
狼どもの報酬（1972年）
ラ・スクムーン（1972年）
地獄のバスターズ（1976年）
サハラクロス（1977年）
Ça fait tilt（1978年） フランス人女優の谷洋子と共演。
アモク！（1981年） 脚本を担当。
現金（バストン）の罠（1985年）<未公開>

ミシェル・コンスタンタンは、特にフランス映画界において、その個性的な容姿と男らしい演技で確固たる地位を築いた俳優と言えるでしょう。日本での紹介は限定的でしたが、彼の参加した作品は今なお多くの映画ファンに記憶されています。

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