ミスタージョン

ミスタージョン株式会社：ホームセンター事業の興亡とコメリとの合併

ミスタージョン株式会社は、三重県津市を拠点として、三重県全域に加え、和歌山県と滋賀県の一部でホームセンターチェーンを展開していた企業でした。1966年の創業はレストラン経営から始まり、ボウリング場経営を経て、1975年にホームセンター1号店をオープン。その後、順調に店舗数を拡大し、地域に密着したホームセンターとして成長を遂げました。しかし、2004年にコメリと資本業務提携を行い、完全子会社化、そして2006年にはコメリに吸収合併され、ミスタージョンという社名は歴史の表舞台から姿を消しました。

創業から上場廃止まで：多角化と成長

ミスタージョン株式会社の始まりは、1966年、創業者が国道23号線沿いに開設したレストラン「垂水ガーデン」でした。その後、1971年には「垂水スポーツガーデン株式会社」を設立し、ボウリング場「タルミスカイレーン」を開場するなど、多角的な事業展開を試みました。しかし、タルミスカイレーンは休業し、1975年、その跡地にホームセンター「ミスタージョン」1号店が開業。これが同社のホームセンター事業の始まりとなりました。

その後、1987年には物流センターを開設し、事業基盤を強化。1990年には子会社「ミスタージョン・エス・シー開発株式会社」（現・ムービータイム）を設立し、1996年には宮脇書店のFC店舗を展開するなど、事業領域を拡大していきました。1997年には株式を店頭公開し、1999年にはジョンリホームと合併。2000年にはISO14001認証を取得するなど、企業としての社会的責任も意識した経営を行っていました。

しかし、市場環境の変化や競争激化の中、同社はコメリとの資本業務提携という道を選びます。2001年4月、株式会社コメリと資本業務提携を行い、同年6月には物流センターをコメリ三重流通センターに統合。同年11月には本社をコメリ三重流通センター内に移設するなど、コメリとの連携を強めていきました。そして2004年2月、株式交換によりコメリの完全子会社となり、上場廃止となりました。

コメリとの合併とその後

コメリとの合併は、ミスタージョンにとって大きな転換期となりました。2003年度の中間決算では、ミスタージョンの黒字化がコメリの連結売上高の大幅な増益に貢献したとされています。しかし、最終的には2006年4月1日にコメリに吸収合併され、ミスタージョン株式会社は解散しました。ミスタージョンの店舗の多くはコメリの店舗に転換されましたが、新規出店計画が実現しなかった店舗や、子会社が運営していた宮脇書店FC店舗（鈴鹿店、新松阪店、上野店）などは、後にコメリ書房に転換されています。

ミスタージョンの遺産

ミスタージョン株式会社は、レストランから始まり、ボウリング場を経てホームセンターへと業態転換を遂げた、地域に根ざした企業でした。コメリとの合併によってその社名は消えましたが、地域住民に愛されたホームセンターとしての歴史は、コメリの店舗として、そして人々の記憶として、今も受け継がれています。 ミスタージョンの歴史は、時代の変化の中で企業がどのように対応し、成長、そして統合していくのかを物語る貴重な事例と言えるでしょう。

参考資料

* 『三重県会社要覧』（株式会社百五経済研究所、毎年1月発行）

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