ミスター珍

ミスター珍（ミスターちん）

ミスター珍（本名：出口 雄一、1932年10月12日 - 1995年6月26日）は、日本のプロレス界で名を馳せた名レスラーであり、後にテレビタレントや俳優としても活躍した存在です。兵庫県宝塚市に生まれ、身長168cm、体重95kg（全盛期）という体格を誇りました。彼のトレードマークは顎ひげであり、独特なキャラクターで多くのファンに親しまれました。

早期キャリアとプロレスデビュー

ミスター珍はまず兵庫県警察の機動隊に勤務し、柔道選手として名を馳せていました。その後、国際柔道協会に参加し、その流れから全日本プロレス協会にも名を連ねます。特にP・Y・チャン（本名：トージョー・ヤマモト）とのタッグコンビでの活躍が知られていますが、団体は興行に失敗して崩壊しました。地下プロレスで力道山の試合に参加したことがきっかけで、1955年に日本プロレスへ入団することになります。

ミスター珍は独特なスタイルで知られ、チャイナ服を着たキャラクターや日の丸鉢巻をしめた和風スタイルで悪役レスラーとしての人気を博しました。下駄を凶器として使うスタイルも彼の魅力の一部でした。

事故と復帰

1961年1月7日、名古屋市でジャイアント馬場との対戦中、強烈なキックで重傷を負い、昏倒。その後手厚い看護を受けましたが、彼は重体であることを実感し、引退を考えました。この事故は完全なアクシデントとしてあまりにも衝撃的でしたが、馬場も深く懸念していたと言います。

また1963年には胃潰瘍で入院し、手術を受けることとなります。体重は100kgから大幅に減少しましたが、看護婦の励ましによってリング復帰を果たします。この出会いが後の結婚につながることになるのですが、彼の人生においても大きな転機となりました。

現役後期と多様な活動

その後は日本プロレスを退団し、テレビタレントや俳優としての活動も広がりますが、それでもプロレス界を完全に離れることはありませんでした。1970年に国際プロレスに復帰し、多くの試合に出場しました。特に、アメリカ遠征では大きな人気を獲得し、テキサス州認定の世界タッグ王座も獲得しました。

1980年代後半からはリング上に立つことが少なくなったものの、1993年にはFMWで再デビューし、歳を感じさせない活躍を見せました。特に若手選手との試合ではコミカルな攻撃で観客を笑わせ、病気を抱えながらもリングに上がり続けました。

晩年と逝去

しかし、慢性腎不全を患いながらもリングに立つ姿勢は多くのファンに勇気を与えました。1995年6月26日、62歳でこの世を去りました。特集された際には、彼の壮絶な半生が語られ、多くの人々に知られることとなりました。

豊かな人間性

ミスター珍の人柄や活動は、レスリングファンだけでなく多くの人々に記憶されています。声優の森川智之が彼にトレーニングウェアをもらったエピソードなど、多くの逸話が散りばめられています。彼のコミカルなキャラクターはプロレス界において独特の存在感を示し続け、後進にまで影響を与え続けました。

得意技と獲得タイトル

ミスター珍の技はあまり一般的なものではありませんでしたが、逆エビ固めや逆さ押さえ込み、凶器攻撃などを駆使していた彼のスタイルが魅力でした。また、NWA世界タッグ王座をテキサス版とテネシー版で獲得し、数多くの映画やドラマにも出演したことで彼の影響力は計り知れないものです。

このように、ミスター珍はプロレス界、さらにはエンターテイメント全体に多大な影響を残した存在でした。

もう一度検索