ミステリーズ!

ミステリーズ！：日本のミステリシーンを彩った文芸[[雑誌]]

2003年6月、東京創元社から創刊された『ミステリーズ！』は、日本のミステリ愛好家にとって欠かせない存在でした。同社が刊行していた『創元推理』と『創元推理21』を統合する形で誕生したこの雑誌は、多くのミステリーファンを魅了し、日本のミステリ界に大きな影響を与えました。書籍扱いとして偶数月12日に発売され、創刊当初は季刊でしたが、後に隔月刊へと変更されています。

数々の名作を生んだ連載小説

『ミステリーズ！』の魅力は、何と言っても人気作家による魅力的な連載小説です。北村薫氏の『ニッポン硬貨の謎』（第6回本格ミステリ大賞受賞）、島田荘司氏の『摩天楼の怪人』（第6回本格ミステリ大賞候補）といった話題作から、朱川湊人氏、貫井徳郎氏、大倉崇裕氏、山本弘氏、芦辺拓氏、湊かなえ氏、大崎梢氏など、そうそうたる作家陣が連載作品を執筆しました。それぞれの作品は、ミステリ愛好家を熱狂させ、多くの読者に感動と興奮を与えました。特に、貫井徳郎氏の『愚行録』は第135回直木賞候補にもノミネートされるなど、高い評価を獲得しました。

代表的な連載作品一覧

北村薫『ニッポン硬貨の謎』（vol.1 - vol.10）
島田荘司『摩天楼の怪人』（vol.3 - vol.11）
朱川湊人『赤々煉恋』（vol.5 - vol.13）
貫井徳郎『愚行録』（vol.9 - vol.13）
大倉崇裕『福家警部補の挨拶』（vol.12 - vol.16）
山本弘『MM9』（vol.12 - vol.20）
芦辺拓『綺想宮殺人事件』（vol.29 - vol.36）
湊かなえ『Nのために』（vol.33 - vol.37）
芦辺拓『スチームオペラ』（vol.43 - vol.51）
大崎梢『ようこそ授賞式の夕べに』（vol.54 - vol.59）

これらの作品は、ミステリという枠を超えて、人間の心理や社会問題を深く掘り下げた、多くの読者を惹きつける魅力的な作品ばかりでした。

新人発掘の場としての役割

『ミステリーズ！』は、新人作家を発掘する場としても重要な役割を果たしました。雑誌では、公募新人文学賞である「ミステリーズ！新人賞」の受賞作とその選評が掲載され、多くの才能ある作家が輩出されました。また、創元SF短編賞の選評も掲載されており、ミステリ・SF両方の分野で新たな才能の発掘に貢献しました。

雑誌の終焉とその後

2021年2月号（vol.105）をもって『ミステリーズ！』は最終号を迎えました。長年にわたってミステリファンを魅了してきた雑誌の休刊は、多くの読者にとって残念な出来事でしたが、後継誌として総合文芸誌『紙魚の手帖』が創刊され、新たなスタートを切りました。

ミステリ界への貢献

『ミステリーズ！』は、多くの優れたミステリ作品を発表し、新人作家の発掘にも貢献するなど、日本のミステリ界に多大な影響を与えました。その功績は、日本のミステリ史にしっかりと刻み込まれていると言えるでしょう。現在ではWebマガジン『Webミステリーズ！』としてオンラインでもコンテンツが公開されています。

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