ミス・ポピーシードのメルヘン横丁

ミス・ポピーシードのメルヘン横丁

『ミス・ポピーシードのメルヘン横丁』は、山本ルンルンによる漫画作品です。芳文社の『まんがタイムラブリー』にて2006年から2008年にかけて連載されました。4コマ[[漫画]]が中心の雑誌において、珍しいストーリー漫画として掲載されました。単行本は全2巻で、小学館からも復刻版が発売されています。

概要

本作は、山本ルンルン作品でおなじみの架空の国家「シトラス公国」を舞台としています。『シトラス学園』や『マシュマロ通信』のキャラクターが登場することもありますが、作風は『マシュマロ通信』のような児童向け作品とは異なり、少しブラックユーモアを含んだ内容となっています。シトラス公国で使用されている通貨は「ピコ」で、1ピコ＝約6円という設定も共通です。

実は、芳文社版の連載以前に、講談社の雑誌に同タイトルの読み切り短編が掲載されていました。これらの短編は、後に太田出版から発売された『シトラス学園 完全版』に収録されています。読み切り版は、ポピーシードのみが登場し、台詞がないサイレント映画のような表現が用いられているなど、連載版とは異なった雰囲気を持っています。

あらすじ

物語は、ヨーロッパの片隅にあるシトラス公国から始まります。主人公のマーガレットは、服飾学校に通うため、メルヘン横丁にあるアパートに下宿することに。「アパートの雑務をこなす代わりに家賃無料」という奇妙な条件に惹かれたのです。そこで出会ったのは、アパートの大家である魔女のポピーシードと、彼女の執事であるネズミのベルガモット。さらに、若い男の幽霊ユーレイも住み着いていました。ユーレイの話によると、ポピーシードは本物の魔女だというのです。個性豊かな住人たちとの出会いから、マーガレットの不思議な日常が幕を開けます。

登場人物

ポピーシード: アパートの大家である魔女。由緒正しい魔女の家系の出身ですが、過去の事情から家を出て、現在は「よろず相談所」を開いて生計を立てています。普段は冷静な態度ですが、怒りっぽい一面も。愛煙家です。
マーガレット: 田舎からポピーシードのアパートに引っ越してきた18歳の服飾学校生。物語は彼女の視点で描かれることが多いです。童顔で小柄なため、子供に間違われることもしばしば。お人好しで家事も得意なため、何かと便利に使われてしまう苦労人。ポピーシードの愛犬ウルシに似ていることから、可愛がられています。
ベルガモット: ポピーシードの執事。ポピーシードを「お嬢様」と呼びます。プライドが高く、金銭感覚がずれています。実は73歳の人間ですが、女性に貢ぐ癖があるため、ポピーシードの魔法でネズミの姿に変えられています。それでも懲りずに、人間に戻る薬や惚れ薬を盗んでは、女性を口説いています。貧しい人には冷たいですが、不幸な境遇の人には同情する優しい一面も持っています。
ユーレイ: アパートに住み着いている若い男の幽霊。壁を自由に通り抜けられます。生きていた人間のように食事や喫煙も可能です。死因は、悪友たちとの悪ふざけで、アパートの屋上の花壇に生き埋めにされたことでした。
アラム: 服飾学校でマーガレットが初めてできた友人。明るい性格で、少しなまりのある話し方をします。
ウルシ: ポピーシードが実家で飼っていたプードル。ポピーシードを慕ってメルヘン横丁までやってきましたが、途中で力尽きて死んでしまいます。しかし、魔法の種によって花として蘇り、アパートの屋上の花壇で生きています。
プレイグ: 疫病神の少女。彼女が存在するだけで災いを引き起こします。
ルミエル: ポポという名前のぬいぐるみで腹話術をする少女。母親の死後、心を閉ざして自分の言葉で話さなくなりました。
ルーシー: 魔女として修行中の少女。人々の幸福を願って魔法を使っていますが、未熟なため失敗ばかりしています。

単行本情報

芳文社〈まんがタイムコミックス〉
2007年8月22日発行 ISBN 978-4-8322-6564-6
2008年10月22日発行 ISBN 978-4-8322-6682-7
小学館〈フラワーコミックススペシャル〉
2010年12月15日発行 ISBN 978-4-09-133688-0
* 2010年12月15日発行 ISBN 978-4-09-133689-7


『ミス・ポピーシードのメルヘン横丁』は、メルヘンチックな世界観と、少しブラックなユーモアが混ざり合った、不思議な魅力を持つ作品です。

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