ミズオジギソウ

ミズオジギソウ (Neptunia oleracea) について

ミズオジギソウは、マメ科ミズオジギソウ属に分類される水生の多年草です。別名としてカイジンソウ（海神草）とも呼ばれます。この別名は、属名である Neptunia がローマ神話の海神ネプトゥーヌスに由来することに因んでいます。また、種小名の oleracea は、食用野菜を意味しており、この植物が食料としても利用されることを示唆しています。

特徴

ミズオジギソウの最大の特徴は、茎の周りに発達する白い海綿状の浮き袋です。この浮き袋のおかげで、水中に浮かびながら繁茂することができます。浮き袋と浮き袋の間から水中に根を張り、栄養を吸収します。陸上の畑でも栽培が可能ですが、その場合は浮き袋は形成されません。

茎は高さ1.5メートルほどにまで成長し、刺はありません。葉は2～3対の羽片からなる2回羽状複葉で、各羽片には長さ3～5センチメートルの小葉が8～18対ついています。小葉片は長さ1～1.5センチメートルです。

葉に触れると、オジギソウのように小葉を畳む反応を示しますが、その速度はオジギソウに比べて遅いです。花は黄色く、長さ7～8センチメートルの花柄の先に、直径約2センチメートルの頭状花序を形成します。花期は晩夏から秋口にかけてです。豆果は扁平で、中に数個の小さな種子を含んでいます。成熟すると褐色になります。

分布

ミズオジギソウは、新旧大陸の熱帯地域に広く分布しています。日本へは昭和初期に渡来したと考えられています。

利用

観賞用として栽培されることが多く、葉に触れると小葉を閉じる動きが楽しまれています。ただし、冬越しには水温15℃以上が必要とされていますが、13℃でも良いという説もあり、温帯地域では冬越しに温室が必要となる場合があります。

タイでは「パッククラチェト」と呼ばれ、若い葉や茎はビタミンAを豊富に含んでいるため、東南アジア諸国では野菜として利用されています。食用にする際には、浮き袋を取り除き、柔らかい葉先や茎の部分が使われます。

近縁種

ミズオジギソウは水生植物ですが、熱帯アメリカ原産の陸生植物であるオカミズオジギソウが沖縄に帰化しています。ミズオジギソウ属（Neptunia）は、刺を持たないこと、豆果が種子を一つ含む断片に分かれないことなどで、オジギソウ属（Mimosa）と区別されます。

参考文献

佐々木尚友「南方植物雑記 熱帯の珍草 ミズオジギソウ」『熱帯林業』第0巻、第29号、40–43頁、1973年。
湯浅浩史; 前川文夫「Neptunia oleracea ミズオジギソウ、カイジンソウ」『マメ科資源植物便覧』（財）日本科学協会、1987年。
最新園芸大辞典編集委員会 編「ミズオジギソウ属」『最新園芸大辞典』 8巻（第2版）、誠文堂新光社、1989年。
根本智行 著「ミズオジギソウ」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 5巻、朝日新聞社、1997年、60–61頁。

外部リンク

ミズオジギソウ 花夢ギャラリー
Neptunia oleracea/ミズオジギソウ
ミズオジギソウ GKZ植物事典
ミズオジギソウ 山科植物資料館
ミズオジギソウ 草木図譜
ミズオジギソウ 四季の山野草
* ミズオジギソウ うちなー通信

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