ミゾホオズキ属

ミゾホオズキ属について

ミゾホオズキ属（学名：Mimulus）はハエドクソウ科に属する植物の一群で、これまでの分類体系ではゴマノハグサ科に含まれていました。この属は多様な種類があり、世界中で約150種が知られていますが、日本では主に2種が自然に分布している他、いくつかの帰化種や栽培種も確認されています。

植物の特徴

ミゾホオズキ属の植物は多年草で、茎が直立または匍匐するのが一般的です。葉は通常対生し、形は卵型または円形です。花は上部の葉の腋に1つずつつけられ、萼は長い筒状をしていて、先端は5つに浅く裂け、基部から先へと伸びる5本の稜があります。また、これらの稜にはしばしば小さな翼が形成されます。

花冠は主に黄色で、筒状で唇形をしており、上唇が2裂、下唇が3裂に分かれています。花冠の内部には隆起した2列の構造があり、そこには毛状突起が密生しています。雄蕊は4本、下側の2本は長く、上側の2本は少し短いのが特徴です。花柱は1本で細長く、その先端は上下に扁平な2枚に裂けており、柱頭と触れると急速に閉じる様子が観察されます。果実は細長い楕円形の蒴果で、特徴的に袋状に大きく成長した宿存性の萼に守られ、多くの種子を含みます。果実が熟すと胞間裂開して種子を放出します。

日本における分布

日本には次の2種が分布しています：

• - ミゾホオズキ（Mimulus nepalensis Benth.）

- 主に北海道、本州、四国、九州に自生し、さらには朝鮮や中国、ヒマラヤ地方にまで広がっています。

• - オオバミゾホオズキ（Mimulus sessilifolius Maxim.）

- 北海道と本州中部地方の日本海側及び南千島、樺太に見られます。

さらに、日本に帰化している種や栽培種には以下のものがあります：

• - ベニバナミゾホオズキ（Mimulus cardinalis Dougl. ex Benth.）：栽培専門。
• - セイタカミゾホオズキ（Mimulus guttatus Fisch. ex DC.）：帰化種。
• - ニシキミゾホオズキ（Mimulus luteus L.）：北アメリカからの帰化種。
• - アメリカミゾホオズキ（Mimulus moniliformis Greene）：他の帰化種。
• - ニオイミゾホオズキ（Mimulus moschatus Dougl. ex Lindl.）：栽培種。

名称の由来

「ミゾホオズキ」という名は、溝辺に自生し、果実がナス科のホオズキと似ていることに由来します。学名の「Mimulus」はラテン語の「道化者 mimus」の縮小形で、花冠の形が猿のように見えることから名づけられました。英語においては「monkey-flower」と呼ばれています。

参考資料

ミゾホオズキ属に関する詳細な情報は、以下の文献が参考になります。

• - 『日本の野生植物 草本III合弁花類』 佐竹義輔・他編
• - 『新牧野日本植物圖鑑』 牧野富太郎原著
• - 『植物分類表（初版第3刷訂正入）』 大場秀章編著
• - 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花（増補改訂新版）』 門田裕一監修

このように、ミゾホオズキ属はその特徴的な花や果実、多様な生態系において重要な役割を果たしています。

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