ミゾレヌマエビ

ミゾレヌマエビ（霙沼蝦）について

概要

ミゾレヌマエビ（学名: Caridina leucosticta）は、十脚目ヌマエビ科に属する淡水エビであり、主に西日本の河川下流域に分布しています。この種は、その独特な形態と生態から、多くの人々に魅了されています。

特徴

ミゾレヌマエビは成体の場合、オスは最大で約25mm、メスは約35mmに達します。彼らの額角は長く、前方にまっすぐに伸びており、その鋸歯の数は上縁で13から28本（一般的には18から20本）、下縁で3から16本（通常は8から9本）とされます。体全体は細長い紡錘形で、特に腹部中央は少し上へ湾曲しています。また、その歩脚は細く短いため、流れのある環境での移動には特に適しています。

成長期の個体は透明感が強く、その体内には複眼や内臓、消化物が色づいて見えます。この美しさが、まるでガラス細工のようだと評され、多くの人々の興味を惹きます。奄美大島では、川の近くで生芋を用意し、水中で噛み砕くことでエビを引き寄せるという伝統的な捕獲方法が用いられています。ただし、捕獲の際には注意が必要で、体内に白く目立つ食べた芋の残骸が溜まるため、エビが見つけやすくなります。

また、成熟したメスの表皮は緑灰色や灰褐色から黒褐色へと変わり、体側には微細な白点が数多く現れます。これらの白点が「霙」に似ていることから、日本名が付けられましたが、同様の白点は他のヌマエビ類にも見られるため、種同定の際の手がかりには十分ではありません。さらに、メスの個体は背筋に沿って太い白線が入っているものや、左右に「ハ」の字型の枝分かれを持つものがあるなど、個体差が多く見られます。

他のヌマエビ類と比べると、ヤマトヌマエビやトゲナシヌマエビは額角が短く、ヒメヌマエビは小型で、ミナミヌマエビは体色が少し濁るなど、見た目の違いがあります。特にツノナガヌマエビやヌマエビはミゾレヌマエビに似た特徴を持つため、同定が難しい場合があります。

生態

ミゾレヌマエビは、主に日本海側の新潟県より西、太平洋側の千葉県より西に生息し、四国や九州、南西諸島でも多く見られます。九州以北でも一般種として認識されることが多く、流れが緩やかな環境を好み、主に中流域から下流域に生息しています。そのため、流れの速い上流域では見かけることはありません。エビは岩陰や水草、抽水植物の間に隠れることが多く、生活環境を利用して獲物を探します。

食性は雑食性で、藻類やデトリタス、生物の死骸などを食べることが知られています。繁殖は春から夏にかけて行われ、交尾後、メスは約500から6000個の卵を産卵し、これを腹脚で保護します。孵化した幼生はゾエアの形態を持ち、川の流れに乗って海へと進み、約1ヶ月の間プランクトンとして生活します。

幼生は他のヌマエビ類に比べて細長く、若干半透明の白色であるため、識別が可能です。彼らはデトリタスやプランクトンを捕食しながら成長し、稚エビへと変態します。稚エビは流れに逆らうように水を遡り、大雨などの増水時にはその行動を控える傾向があります。また、夜間に水の滴る程度の流れを縫うように集団で遡上する姿が見られます。

最後に、ミゾレヌマエビはアクアリウムでの観賞やタンクメイトとしても利用されることがありますが、他のヌマエビと比較すると長期間の飼育が難しいとされています。特に、幼生の成長には海水が必要となるため、飼育方法に関しても注意が必要です。

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