十脚目

十脚目（Decapoda）

十脚目、またはエビ目は、甲殻類の中で特にエビ、カニ、ヤドカリを含む分類群です。このグループは、一般的に「甲殻類」として認識される動物のほとんどを含んでおり、特に食用としての重要性が高いです。十脚目は、しばしば大型の種類が多く含まれ、日常生活において目にする機会が多いため、私たちにとって非常に身近な存在となっています。

形態

十脚目の体は通常、頭部、胸部、腹部の三部分から構成されており、それぞれの部位には異なる数の体節があります。具体的には、頭部には6つ、胸部には8つ、腹部には6つの体節が存在しますが、特定の種ではこの体節の一部が退化しています。特にカニの外見には腹部がないように見えますが、実際には腹部が胸部の下に折りたたまれています。

頭部には、上唇を持つ先節があり、その後に続く体節には触角や顎が存在します。胸部や腹部の体節には合計14対の脚があり、これに由来して「十脚類」という名前がついています。

外部形態

外骨格は多くの場合、石灰化されて硬く、特に背甲が発達しており胸部を覆っています。また、頭部には複眼があり、触角は二対あり、第一触角は二又形をしています。口器は一対の大顎と二対の小顎から成り、胸部の最初の三節には顎脚が見られます。腹部は種によって大きく異なり、エビ類の腹部は細長く筋肉が発達し、遊泳にも利用される一方、カニ類では短くなっています。

生態

十脚目は生態が多様で、基本的には肉食性ですが、雑食やデトリタス食をする種も存在します。一部の種は寄生性で、特にカクレガニは二枚貝の中で見られることで有名です。また、様々な動物と共生関係を持つ例も多く、例えば、カクレエビはイソギンチャクと共生します。

カニやザリガニは干潟や湿地で多くの動物の餌となり得る一方、スナガニ類などはウミガメの重要な捕食者となることもあります。多くの十脚目は雌が受精卵を保持し、孵化後もしばらく保護することが知られています。特にテッポウエビ類は社会性を持つとされ、昆虫以外では数少ない例として注目されています。動物行動についての研究も行われており、特にカニ類は密集した集団を形成し、交尾や争いを行う様子が観察されています。

生殖と発生

十脚目は基本的に雌雄異体で、体内で受精が行われます。受精卵は、抱卵亜目では雌が腹肢で保持して成長することが多く、幼生はゾエアやメガロパと呼ばれる段階を経て成長します。特に淡水性や寒冷海洋の種では、幼生を経ず直接発生することがあります。

ゾエアは、胸部付属肢が遊泳のために発達する時期であり、メガロパは腹部の付属肢が遊泳に特化する時期とされています。

生息環境

十脚目は主に海洋に生息しており、潮間帯から深海まで幅広い環境に適応しています。一方で、淡水や陸生の種も存在し、その多くは幼生期に海を必要とします。陸生種の一部は、定期的に海に移動して放卵し、大きな体を持つため、人々に注目されることがあります。特に、陸生種の中には昆虫よりも大型で、運動性が高いものが多く見られます。

感受性と保護

十脚目は知覚能力を持つと考えられ、オーストラリアやヨーロッパの国々では動物福祉法に含まれています。特にイギリスでは2021年に、大型のエビやカニが苦痛を感じる可能性が示され、動物福祉法の保護対象が拡大しました。このような動きは、十脚目の動物への配慮を高めるための重要な一歩といえるでしょう。

利害

十脚目は食用として非常に人気があり、特にエビやカニは高級食材として扱われることが多いです。そのため、漁業や養殖が行われていますが、乱獲や密猟が資源の枯渇を引き起こしている現状も問題視されています。このように、十脚目の動物は経済的に重要な存在ですが、同時に生態系への影響も考慮する必要があります。

分類

十脚目は非常に多様性に富む群であり、現生種は約14,335種で、化石種も2979種存在します。分類は古くから行われており、エビ、カニ、ヤドカリに相当する異なる亜目に分けられています。詳細な内容については、様々な学者による研究がされています。

このように、十脚目は生態、形態、生活様式において非常に多様であり、それに伴う人々との関わりも深い生物群であると言えます。

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