ミッション (映画)

映画『ミッション』の概要

『ミッション』（The Mission）は、1986年に公開されたイギリス、フランス、アメリカの共同制作による歴史ドラマ映画です。本作は、18世紀のスペイン植民地時代、南米のパラナ川を舞台に、イエズス会宣教師たちが先住民グアラニー族に対してキリスト教を布教する様子と、彼らの理想と厳しい植民地社会との葛藤を描いています。映画は1986年度のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しており、アカデミー撮影賞、ゴールデングローブ賞の脚本賞および作曲賞も獲得しています。このように、映画は高い評価を受けており、今日でも多くの人々に語り継がれています。

ストーリー

映画の舞台は1740年代。スペインの支配下に置かれているパラナ川上流域では、厳しい地形やジャングル、そして誇り高い先住民グアラニー族の抵抗によって、キリスト教の布教は困難を極め、多くの宣教師たちが命を落としていました。そんな中、召喚されたガブリエル神父は、音楽を通じてグアラニー族の心を掴もうと奮闘します。

一方、軍人で奴隷商人のメンドーサは、私的な紛争の末に自らの弟を誤って殺してしまい、精神的に苦悩します。しかし、ガブリエルからの助言を受けて改心し、イエズス会に加わり、布教活動を共に行う仲間となります。

イエズス会の活動は急速に進展し、農場の利益分配や先住民奴隷の逃亡を促す布教区が現れる中、植民地社会の権力者たちはこれを脅威に感じるようになります。スペインとポルトガルによる国境線の引き直しにより、イエズス会の布教地域がポルトガル領に編入され、先住民には移動が命じられます。しかし、宣教師たちはそれにも関わらず、先住民と共に行動することを選択します。

植民地当局の軍隊が迫る中、ガブリエル神父は村を守るためにミサを続け、メンドーサは宣教師の教えを捨て、再び戦争に身を投じる決意を固めます。宣教師たちの信念と勇気、先住民との絆が試される緊迫した展開が続きます。

キャストとスタッフ

主要キャストには、ガブリエル神父役のジェレミー・アイアンズ、ロドリゴ・メンドーサ役のロバート・デ・ニーロが名を連ね、他にも多くの俳優が重要な役割を果たしています。監督はローランド・ジョフィ、製作はデヴィッド・パットナムが手掛けました。また、映画音楽はエンニオ・モリコーネが担当し、彼の作品は映画のテーマをさらに深く引き立てています。

実際の歴史との関係

本作は基本的に史実に基づいていますが、登場人物やストーリー展開にはフィクションが含まれています。1609年から18世紀にかけて、イエズス会は南米各地に伝道所を築き、先住民の保護と文化の融合を進めました。映画で描かれる出来事は、イエズス会士が直面した困難と成功を通じて、信仰の力を示すものとなっています。

音楽

エンニオ・モリコーネの音楽は、映画同様に国境を越えた特異な融合を求め、多様な楽器を使ったサウンドトラックが特徴的です。特に『ガブリエルのオーボエ』の美しい旋律は多くの人々に愛され、その影響力は音楽界においても際立っています。

このように、『ミッション』は深いメッセージを持つ作品であり、映像美と音楽が相まって観る者に強い印象を残します。歴史が持つ複雑なテーマを通じて、私たちに何を伝えようとしているのか、考えさせられる作品です。

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