ミッション・トゥー・シーフェアラーズ

ミッション・トゥー・シーフェアラーズ（Mission to Seafarers, MTS）は、以前はミッション・トゥー・シーメン（Mission to Seamen）として知られていた、海運業界で働く人々を支援する国際的なキリスト教宣教団体です。1856年に英国教会によって設立され、過酷な労働環境に置かれる船員たちの福利厚生と精神的なサポートを目的に活動を始めました。現在では、世界の主要な港を中心に260ヶ所以上で活動を展開しており、「フライング・エンジェル（空飛ぶ天使）」という愛称で親しまれています。

活動概要

MTSは、聖公会連合のチャプレン（司祭）と多くのボランティアによって運営されています。彼らは、世界中の港を訪れ、船員たちに様々な支援を提供しています。その活動内容は、単に宗教的なケアに留まらず、以下のような多岐にわたります。

相談と支援： 船員が抱える様々な悩みや困難に対する相談に応じ、解決をサポートします。仕事上の問題、家族関係、健康問題など、どんなことでも気軽に相談できる場を提供しています。
情報提供： 地域の情報や、必要なサービスに関する情報を提供します。船員が安心して滞在できるように、役立つ情報をタイムリーに提供します。
物資提供： 防寒着や生活用品など、必要な物資を提供します。長期間の航海で不足しがちな生活必需品を提供し、船員の生活を支えます。
通信手段の提供： 家族や友人との連絡手段を提供します。インターネットや電話などを利用し、家族との絆を保つサポートをします。
レクリエーション機会の提供： スポーツや娯楽、交流会など、船員がリフレッシュできる機会を提供します。心身のリフレッシュは、仕事の効率やメンタルヘルスの維持に不可欠です。
礼拝や祈りの場： 宗教的なニーズに応えるため、礼拝や祈りの場を提供します。信仰を持つ船員が、安心して心の拠り所を求めることができるようにサポートします。

著名な支持者

MTSは、多くの著名な人物から支持を受けています。エリザベス2世女王がこの団体の代表（パトロン）を務めており、アン王女が会長（プレジデント）を務めています。また、カンタベリー大主教の海事関係スポークスマンが総長（セクレタリー・ジェネラル）を務めています。これらの著名な支持者は、MTSの活動を広く社会に知らしめ、その活動を力強く後押ししています。

日本における活動

日本では、以下の3か所に「シーフェアラーズセンター」が設置されています。

横浜： 横浜山手聖公会英語集会の司祭がチャプレンを兼務しています。地域に根差した活動を展開しています。
神戸： 神戸マリナーズセンター内に拠点を置いています。神戸港を訪れる船員たちを支援しています。
* 苫小牧： かつては活動拠点がありましたが、現在は閉鎖されています。

関連団体

MTSは、アングリカン・コミュニオン（聖公会）に所属しています。また、カトリック教会には、船員司牧（Apostleship of the Sea）という同様の宣教団体が存在します。

その他の情報

MTSの活動は、船員だけでなく、その家族や海運業界全体を支える重要な役割を担っています。過酷な労働条件や孤独な環境に置かれがちな船員たちにとって、MTSの存在は心の拠り所であり、生活を支える大きな力となっています。世界中で多くの人々が、MTSの活動によって、日々の生活を送っています。今後もMTSの活動が、海運業界の発展と船員の幸福に貢献していくことが期待されます。

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