カンタベリー大主教

カンタベリー大主教についての詳細

カンタベリー大主教（Archbishop of Canterbury）は、イギリス国教会の最も高位の聖職者であり、カンタベリー大聖堂を主教座としています。この地位は、イギリスの宮廷において最も重要な席次を有し、カンタベリー大主教がその要職にある間は必ず貴族院の議員としても活動します。現在、この地位にはジャスティン・ウェルビーが2013年1月から就任しています。

役割と職務

カンタベリー大主教は、聖公会（アングリカン・コミュニオン）の指導者としての役割を果たし、世界中に広がるイギリス国教会のネットワークを代表しています。また、彼はカンタベリー管区の監督（Metropolitan of the Province of Canterbury）であり、全イングランドの首位聖職（Primate of All England）でもあります。カンタベリー大主教区の地域は、主に東ケントに広がります。

大主教は、イングランドの他の大主教たちのうち、次席をヨーク大主教とし、伝統的な聖職者の身分や役割に則った形で教会内部の問題や外部との関係を調整することが求められます。公邸はロンドンのランベス宮殿と、カンタベリー市内のオールド・パレスに位置しています。

歴史的背景

この役職はもともとローマ・カトリック教会の一部として設立され、初代の大司教であるアウグスティヌスが597年にケントに到着したことから始まっています。その後、カンタベリー大主教職は「聖アウグスティヌスの椅子」との異名を得て、キリスト教における重要な地位として認識されてきました。

16世紀にヘンリー8世がローマ教皇庁からの離脱し、イギリス国教会を設立したことから、カンタベリー大主教はイングランド王に選任される職位となりました。今日では、国王または女王の名の下に指名されるものの、実際にはイギリス首相が聖職者と信徒からなる委員会が選んだ2名の候補の中から1名を選ぶ形で決定されます。

現代における役割

20世紀以降、カンタベリー大主教の職任は高教会派と低教会派からそれぞれ1名ずつが候補に挙げられ、宗教的な多様性を反映した形での選任が行われています。この背景にあるのは、イギリス国内の宗教的な緊張や、国際的なアングリカン・コミュニオンの中での役割拡大です。

カンタベリー大主教は、信仰の指導者としての役割に加えて、社会問題に対しても意見を表明することが求められ、社会全体における倫理的な問題への関与も期待されています。彼はまた、対話や協力を促進し、宗教間の調和を図る重要な役割を果たします。

このように、カンタベリー大主教はイギリス国教会の中心的存在であり、宗教的なリーダーシップだけでなく、社会全般に影響を及ぼす重要な地位であると言えるでしょう。

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