ミトリダテス戦争

ミトリダテス戦争：共和政ローマとポントス王国の激突

ミトリダテス戦争は、紀元前1世紀に共和政ローマとポントス王国の間で勃発した、三次にわたる長期にわたる戦争です。当時のポントス王、ミトリダテス6世の名前が戦争の名前の由来となっています。この戦争は、ローマの東方進出とポントス王国の勢力拡大が衝突した結果であり、地中海世界の覇権を争う重要な戦いでした。

第一次ミトリダテス戦争（紀元前88年 - 紀元前84年）

第一次ミトリダテス戦争は、ミトリダテス6世が小アジア（現在のトルコ）に進出し、ローマの勢力圏を脅かしたことから始まりました。ローマは、ルキウス・コルネリウス・スッラを司令官として派遣し、ポントス軍と激戦を繰り広げます。紀元前86年には、カイロネイアの戦いとオルコメノスの戦いという二つの大きな会戦が行われ、いずれもローマ軍が勝利を収めました。スッラは、ギリシャでの戦いを終結させ、ミトリダテス6世との講和交渉に入り、紀元前86年にダルダノスの和約が締結され、第一次ミトリダテス戦争は終結しました。この和約により、ミトリダテス6世は占領地を放棄し、ローマに多額の賠償金を支払うこととなりました。

第二次ミトリダテス戦争（紀元前83年 - 紀元前82年）

第二次ミトリダテス戦争は、第一次ミトリダテス戦争終結直後に、ローマ側の内紛が原因で起こりました。ローマ軍の司令官ルキウス・リキニウス・ムレナが、ミトリダテス6世の勢力回復を恐れて挑発行為を繰り返したことがきっかけとなり、再び両国間で戦闘が開始されました。しかし、ローマ軍は敗北を喫し、スッラの命令により撤退を余儀なくされ、第二次ミトリダテス戦争は短期間で終結しました。

第三次ミトリダテス戦争（紀元前75年 - 紀元前63年）

第三次ミトリダテス戦争は、ミトリダテス6世が再び勢力を盛り返し、ローマに対する反撃の機会をうかがっていたことから始まりました。ローマは、当初ルキウス・リキニウス・ルクッルスを司令官として派遣し、ポントス軍を破りました。しかし、ルクッルスの求心力の低下と兵士の反乱により、グナエウス・ポンペイウスが新たな司令官として派遣されます。ポンペイウスは、ミトリダテス6世を破り、ポントス王国を滅ぼしました。ミトリダテス6世は、クリミア半島に逃亡し、再起を図りましたが、最終的には自身の息子によって裏切られ、自殺に追い込まれました。これにより、ミトリダテス戦争は完全に終結し、ポントス王国はローマの属州となりました。

ミトリダテス戦争は、共和政ローマの拡大と、東方諸国の抵抗を示す重要な出来事であり、その後のローマ帝国の成立に大きな影響を与えました。

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