ミナスジェライス電力

ミナスジェライス電力（Companhia Energetica de Minas Gerais S.A.）、略称CEMIGは、ブラジル南東部に位置するミナスジェライス州の州都、ベロオリゾンテに本社を構える、ブラジルを代表するエネルギー企業です。同国における電力会社としては最大規模の一つに数えられ、ブラジル国民の約12パーセントに電力を供給するという、重要な社会インフラを支える役割を果たしています。その事業は電力供給に留まらず、多様なエネルギー源の開発や、通信・天然ガスといった関連分野にまで及んでいます。

CEMIGの電力供給ネットワークは、ブラジル国内の15州に広がり、さらには南米大陸の隣国であるチリにも展開しています。この広大な地域への電力供給を支えるため、同社は合計で64箇所の発電設備を所有・運用しています。これらの発電所の大部分は、環境負荷が比較的低いとされる水力発電所ですが、安定供給とエネルギーミックスの多様化を図るため、火力発電や風力発電設備も保有しています。これら全ての発電設備を合わせた総発電容量は、約6,000メガワットに達します。この強固な発電基盤が、広範な供給エリアへの安定供給を可能にしています。

同社の電力インフラの中でも特筆すべきは、その送電網の規模です。総延長は実に40万キロメートルに達し、これは南米大陸全体で見ても最大級のネットワークです。この広大な送電網は、本社が位置するミナスジェライス州において特に密に張り巡らされており、州内にある774もの地方自治体を網羅しています。これにより、約1800万人もの住民や産業に対し、日々の暮らしや経済活動に不可欠な電力を安定して届けることが可能となっています。まさに、この巨大な送電網こそが、CEMIGの事業基盤の中核をなす資産と言えるでしょう。

電力事業で培ったインフラやノウハウを活かし、CEMIGは関連分野への多角化も積極的に進めています。その一つが通信事業です。傘下に複数の事業会社を持ち、電力事業で構築・保有する電線網インフラを利用して、ケーブルテレビ放送サービス、高速インターネット接続サービス、さらにはその他の広範な通信関連サービスを提供しています。これにより、顧客に対してエネルギーだけでなく、情報通信という別の重要なインフラも提供できるようになっています。さらに、エネルギー供給の多様化という観点から、天然ガス供給事業も展開しています。この事業は子会社であるガスミグ（Gasmig）を通じて行われており、ミナスジェライス州内における天然ガスの主要な供給元としての役割を担っています。電力、通信、天然ガスといった複数のエネルギー・インフラ分野を手がけることで、総合的なサービスプロバイダーとしての地位を確立しています。

CEMIGの所有構造は、ブラジルの州営企業としての側面を強く反映しています。筆頭株主はミナスジェライス州政府であり、同州が株式の過半数を保有することで、企業の経営方針や重要決定に対し、州の意向が強く反映される体制となっています。同時に、国内外からの資本導入と透明性の確保を目指し、株式は複数の主要な証券取引所に上場しています。ブラジルの主要な証券取引所であるサンパウロ証券取引所（B3）はもちろんのこと、国際的な市場であるアメリカ合衆国のニューヨーク証券取引所（NYSE）や、ヨーロッパのスペインにあるマドリード証券取引所（BME）にも上場しており、グローバルな投資家からのアクセスを可能にしています。この上場構造は、同社が単なる州営企業に留まらず、国際的な基準に準拠した経営を目指していることを示唆しています。

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