ミニマム・アクセス

ミニマム・アクセスについて

概要

ミニマム・アクセスとは、主に農産物の輸入を規制するための制度で、輸入実績が国内消費の3%以下にとどまる品目に対し、一度に輸入できる最低数量を設定します。この制度は、1986年から1988年にかけて行われたウルグアイ・ラウンドで具体化され、関税率に応じて一次関税と二次関税に分けられています。具体的には、所定の数量までが低い関税率（一次関税）で輸入可能となり、その枠を超えると高い関税率（二次関税）になります。ただし、輸入量が全て義務化されているわけではありません。

ウルグアイ・ラウンドと日本の米の輸入

ウルグアイ・ラウンドの協定により、日本は米に関して他の農産物より厳しい特例を設けました。日本は1995年から、ミニマム・アクセス米（MA米）として国家貿易で米の輸入を開始し、最初は国内消費の4%相当の42.6万トンを輸入することになりました。その後も段階的に輸入枠が毎年0.8%ずつ増加することが定められました。

1999年には、コメの価格を関税化する方針に変更し、2000年には341円／キログラムの関税を設定しました。この措置により、誰でもコメを日本に輸入できるようになり、その結果、2000年度のMA米の輸入量の大部分は関税なしで受け入れられることとなりました。

政府の見解と誤解

ウルグアイ・ラウンドの農業協定は、ミニマム・アクセス枠の全量輸入を法的に義務付けているわけではありません。しかし日本政府は、「法的義務の内容は輸入機会の提供である」としつつ、コメについては「国家貿易品目として国が輸入すべきもの」との統一見解を示しました。このため、報道や一般市民の間には「日本はMA米を一定量、輸入する義務がある」との誤解が広がっています。

農業再生プランと国際価格の変動

2007年に、日本共産党がMA米輸入の義務を否定し、「義務的輸入は中止します」と提言する動きがありましたが、その年の国際的なコメの価格高騰によって状況は一変しました。2008年には、異常な市場状況のため、政府の輸入米入札が全て落札できず、国内のマーケットに影響を与えました。これを受け、日本の政府はMA米の輸入量が不足し、再考を余儀なくされました。

輸入元と混入事故

1993年のウルグアイ・ラウンド合意以来、年間76.7万トンのMA米が輸入されており、主な輸入元はアメリカ、タイ、オーストラリア、ベトナムです。中には中国製も含まれ、その割合は約10%を占めています。また、2009年には日本国内で発生したカビ毒混入事件があり、これがMA米に関連して発見されたことも報道されました。

三笠フーズの不正事件

さらに、2008年にはミニマム・アクセスで輸入された米をもとに、三笠フーズが事故米を偽って食用として転売するスキャンダルが発覚しました。この事件は、ミニマム・アクセスの枠組みに起因するものではなく、様々なルートから日本の米市場に影響を与えました。

結論

ミニマム・アクセス制度は、日本の農業および輸入政策に対する重要な要素です。政府や経済のグローバル化の中で、国民の理解を深め、公正な流通を進めるためには、制度の透明性や信頼性を高めることが求められています。

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