ミネソタ無頼

ミネソタ無頼：視力と正義を失った男の復讐劇

1964年、セルジオ・コルブッチ監督が放つマカロニウェスタン『ミネソタ無頼』（原題：Minnesota Clay）は、アメリカ西部を舞台に、失明寸前のガンマンの復讐劇を描いた作品です。

物語の中心人物は、ミネソタ・クレイ。かつては名うてのガンマンでしたが、無実の罪で18年間も投獄されていました。獄中生活は彼の視力を奪い、彼は失明の危機に瀕しています。そんなクレイの唯一の希望は、かつての仲間フォックスに自身の無実を証明してもらうことでした。

18年の歳月を経て刑務所から脱獄したクレイは、故郷の町メサへと向かいます。しかし、そこで待ち受けていたのは、想像を絶する衝撃的な事実でした。クレイの恋人エリザベスを殺し、彼に濡れ衣を着せて刑務所送りにした真犯人は、なんとフォックスだったのです。

さらに、フォックスはメサの保安官となり、町の支配者として君臨していました。クレイの無実を証明するどころか、彼はクレイの人生を徹底的に破壊した張本人だったのです。愛する人を奪われ、人生を踏みにじられたクレイは、フォックスへの激しい復讐心を燃やします。

視力は衰え、敵は町の権力者。絶望的な状況の中、クレイは単身、フォックスへの闘いを挑みます。彼は如何にしてフォックスを打ち倒し、自身の無実を証明するのでしょうか？そして、失われつつある視力の中で、彼は復讐を成し遂げる事ができるのでしょうか？

本作は、マカロニウェスタンの典型的な要素である、壮大な西部劇の風景、激しい銃撃戦、そして復讐劇を盛り込んだ作品です。しかし、それ以上に、失明寸前のガンマンという、他のマカロニウェスタンにはないユニークな主人公像が、この作品に深みを与えています。

キャメロン・ミッチェル演じるクレイの、衰えゆく視力と揺らぐ正義、そして燃え上がる復讐心は見どころです。彼を追い詰めるフォックス役を演じるジョルジュ・リヴィエールも、冷酷非情な悪役を見事に演じています。

『ミネソタ無頼』は、単なる復讐劇にとどまらず、正義と復讐、そして人間の業を問いかける、奥深いドラマとしても鑑賞できます。マカロニウェスタンファンはもちろんのこと、西部劇や復讐劇が好きな方にもおすすめしたい作品です。

キャスト

ミネソタ・クレイ：キャメロン・ミッチェル
フォックス：ジョルジュ・リヴィエール
エステラ：エセル・ロホ
オルティス：フェルナンド・サンチョ
ナンシー：ダイアナ・マーティン
アンディ：アンソニー・ロス
ジョナサン：アントニオ・カサス
ジョー・カメル
フリオ・ペーニャ
ホセ・マヌエル・マルティン

参考文献

Curti, Roberto (2016). Tonino Valerii: The Films. McFarland. ISBN 978-1476626185
Lucas, Tim (2013). Mario Bava - All the Colors of the Dark. ISBN 978-0-9633756-1-2

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