ミネルヴァ日本評伝選

ミネルヴァ日本評伝選

『ミネルヴァ日本評伝選』は、ミネルヴァ書房が2003年から発刊している日本の歴史上の人物をテーマにした評伝のシリーズです。この叢書は、古代から近現代に至るまでの多様な人物の生涯を通じて、彼らがいかにして日本の歴史を形成してきたのかを掘り下げています。

「いま、人物から日本史を問いなおす」という理念のもとで、このシリーズはミネルヴァ書房の創業55周年を記念して始まりました。歴史を動かしてきた人物を生き生きと描くことを目指し、実証的な研究成果に基づくと同時に、彼らの人間としてのドラマを重視した視点を持っています。

初期の監修者としては、上横手雅敬や芳賀徹などの専門家が名を連ねており、各巻の執筆には、歴史学、文学、文化史など多様な分野の研究者が参加しています。これにより、単なる歴史的事実の羅列にとどまらず、人物の内面的な葛藤や社会との関わりが豊かに描かれています。

本シリーズの目指すところは、「歴史を動かすのは人間である」という観点から、人間の動きを通じて時代の移り変わりを見つめ直すことにあります。これにより、読者は個々の人物を通じて日本史全体を理解し、自身の歴史観も広げることができるのです。

『ミネルヴァ日本評伝選』は、宮廷人や武将、政治家のみならず、作家や画家などの文化人、そして外国出身の人物にも焦点を当てています。このような幅広い範囲の人物を取り上げることにより、読者は多様な視点から日本の歴史を享受することができます。シリーズの刊行頻度は月に1冊程度で、2019年9月時点で200巻を超えました。元々は150人程度の識者を取り上げる計画でしたが、専門家からの推薦を受けているうちに、その数は400人以上に膨らむこととなりました。

2022年の春に3期目を締めくくり、同年夏からは4期目の発行が開始されました。これは、さらに多くの人物の物語が追加されることを意図しており、今後の展開にも期待がかかります。シリーズの各巻は、それぞれの人物の特異な人生や業績に迫り、歴史に新たな光を当てるための重要な資源となっています。

このように、『ミネルヴァ日本評伝選』は、単なる歴史書にとどまらず、人間の物語として感動的かつ教育的な内容を提供するシリーズです。読者は自らの歴史感覚を深める手助けとなるでしょう。

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