芳賀徹

芳賀 徹の業績と生涯

芳賀 徹（はが とおる）は、1931年5月9日に東京府で生まれ、2020年2月20日に逝去しました。彼は日本の文学者であり、比較文学の権威として広く知られています。東京大学で文学博士の学位を取得し、その後国際日本文化研究センターおよび東京大学で名誉教授を務めました。教育の分野でも功績を残し、京都造形芸術大学では名誉学長としての地位にもありました。また、日本藝術院の会員としても活動し、正四位を賜った人物です。

学生時代と教育

芳賀は幼少期を山形県で過ごし、後に東京高等師範学校附属小学校に転校しました。東京高師附属中学から旧制第一高等学校を経て、1949年に新制東京大学に入学します。卒業後は比較文学を専攻し、特にフランスにおける文学や文化に深い理解を示しました。留学後、彼は1963年に東京大学の専任講師となり、1965年から助教授として教鞭を取ります。

業績と研究

1968年に発表した単著『大君の使節』は彼の代表作の一つで、後に東京大学の教授として比較文学の研究室の主任教授を務めました。学位論文「絵画の領分 - 近代日本比較文化史研究」は、近代日本における文化の交流についての重要な貢献と評価されています。彼は近代日本絵画と西洋文化の影響に関する研究や、岩倉使節団の活動についても論じました。

芳賀はまた、教員として数多くの後進を指導し、文学・美術に関する数々の賞を受賞しました。1981年には『平賀源内』でサントリー学芸賞を受賞し、1984年には『絵画の領分』で大佛次郎賞を受けるなど、彼の業績は高く評価されました。

文化活動と社会貢献

芳賀は学術だけでなく、社会活動にも意欲的でした。特に1996年に設立された「新しい歴史教科書をつくる会」では、教育内容に関する議論に参加し、従軍慰安婦についての問題を提起しました。彼はこの会の理事としても活動し、扶桑社から出版された教科書の監修に携わっていました。

家族と人間関係

芳賀の父は中世日本史の研究者で、家族も学術の道を歩んでいます。彼の長男は考古学者として東北大学で教鞭を執り、妻は美術史学の専門家です。このように、芳賀家は文化・歴史の分野において深い系譜を持っています。

結び

芳賀徹は88年の生涯を通じて、日本の文化と文学の発展に大きく貢献した学者でした。彼の業績と教育は今でも多くの人に影響を与え続けています。彼は苦難を抱える学生や後進たちに対する深い愛情を持っており、その指導力により、数多くの次世代の学者が育成されました。彼の死後も、その学問的な影響力は色あせることがなく、今なお多くの人に感銘を与えています。

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