ミハイル・アレクサンドロヴィチ (1878-1918)

ミハイル・アレクサンドロヴィチ - その生涯

ミハイル・アレクサンドロヴィチ（Михаи́л Алекса́ндрович, 1878年12月4日 - 1918年6月13日）は、ロシアの皇族として知られる大公です。彼はロシア皇帝アレクサンドル3世と皇后マリア・フョードロヴナの第4皇子であり、一般的には「ミハイル大公」という名で広く認知されています。彼の人生は、ロシア帝国の混乱に伴う壮大な物語の一部であり、彼自身の選択や運命がどのように展開していったのかが描かれています。

幼少期

ミハイルは1878年にアニチコフ宮殿で生を受けました。彼が3歳の時、祖父であるアレクサンドル2世が暗殺され、父が皇帝に即位しました。父の即位後、家族は身の安全を求めてガッチナ宮殿に移住しました。ここでの生活は質素で、ミハイルは父母や兄弟たちと共に厳しい日々を送りました。彼は朝早く起き、冷水で顔を洗った後、シンプルな朝食を食べる日常を過ごしていました。

ミハイルは兄妹とともに自然の中での遊びを楽しみ、妹オリガ大公女との関係も非常に親密でした。彼は英語を学び、馬術などの訓練も受けました。しかし、1894年に父の病状が悪化し、父が崩御したことで、彼の幼少時代は終わりを迎えました。

帝位継承への道

ミハイルはロシア帝国陸軍に入隊し、1897年には砲術学校を卒業します。その後、親衛騎砲隊に配属され、1899年に次兄ゲオルギー大公が死去したため、帝位継承権が第一位となりました。しかし、皇太子の称号は与えられませんでした。これは、当時のニコライ2世が男子の後継者を必要としていたためです。1900年、アレクサンドラ皇后が妊娠した際、皆が男の子を望みましたが、間もなく誕生したのは女子のアナスタシア皇女でした。

ミハイルは経済的にも自立し、広大な土地を持っていましたが、1904年にニコライ2世に男子（アレクセイ皇子）が誕生したことで、彼の帝位継承権は失われます。彼はそのことを喜び、圧力から解放された感情を持つようになりました。

身分を超えた恋愛

1902年、ミハイルはザクセン＝コーブルク＝ゴータ公国のベアトリス公女に恋をしますが、ロシア正教会の教会法によって婚約は阻まれてしまいます。次に彼は、妹オルガの女官アレクサンドラ・コッシコフスカヤとの恋に悩まされますが、こちらも身分の違いから結婚は許可されませんでした。

1907年には平民出身のナターリア・ヴリフェルトと親しくなりますが、彼女の離婚歴や身分の問題から関係が厳しくなりました。しかし、軍務からの距離を置くための命令にもかかわらず、ミハイルはナターリアに想いを寄せ続けました。

第一次世界大戦とその後の混乱

1914年に第一次世界大戦が始まると、ミハイルは軍務に復帰し、勢力を発揮します。彼は少将に昇進し、北カフカーズの指揮を任されることとなります。しかし、戦局が厳しくなるにつれ、彼の家庭への影響も強まります。政治的な動乱や国の運命に翻弄されながら、彼は戦争の中で人々の支持を受け続けます。

ロシア革命とその後の悲劇

1917年、二月革命が勃発し、ミハイルは兄であるニコライ2世に新政府の樹立を求めますが、彼の行動は時代の波に押し流されます。ニコライ2世の退位後、ミハイルは一時的に摂政の地位につきますが、彼の新しい皇帝としての試みは力強い支持を得ることなく終焉を迎えます。

1918年に入ると、ボリシェヴィキ政権により彼は逮捕されます。彼と秘書のジョンソンは極寒の中、ペルミへと追放され、最終的には処刑の命令を受けます。ミハイルは忠実に抵抗し、最期を迎えることになりますが、その死はロマノフ家の歴史に深い影を落としました。彼は皇族虐殺の最初の犠牲者となり、彼を支えた人々も同様の運命に飲み込まれていきました。

最後に

ミハイルの生涯は、それぞれの時代背景に影響された苦悩や選択の連続であり、ロシア帝国の崩壊の中での彼の個人的な運命が交錯しています。彼の顕彰や名誉回復がなされたことは、彼がロシア史における重要な人物であったことを示しています。彼の人生は、家族への愛情と政治的な責任の両立の難しさを教えてくれる物語です。

もう一度検索