ミハイル・ゾーシチェンコ

ミハイル・ゾーシチェンコについての解説

ミハイル・ミハイロヴィチ・ゾーシチェンコ（1894年8月10日 - 1958年7月22日）は、ロシア帝国のサンクトペテルブルク出身の著名な作家であり、主に風刺をテーマにした作品で知られています。彼は文芸サークル「セラピオン兄弟」の一員として活躍し、独自の文体でソビエト社会を批評しました。

生涯の概要

ゾーシチェンコはロシア帝国のペテルブルクに生まれ、父親はウクライナの貴族でモザイク職人でした。彼は1913年に高等中学校を卒業し、1915年からサンクトペテルブルク大学法学部で学びました。しかし、学業にはあまり興味を示さず、第一次世界大戦に参加するために軍に志願します。戦場では毒ガスに晒され、体調を崩して除隊となった後、彼は短期間の執筆活動を行いましたが、ロシア内戦の激化により赤軍に再度入隊します。再度除隊した後は、さまざまな職業を転々とし、最終的には1921年に文芸サークルに参加し、本格的な文学活動を始めます。

文学活動と作品

1922年に発表した彼の初刊「ナザル・イリッチ、シニェブリューホフ旦那の物語」は、心に残る物語表現と風刺的要素が特徴で、彼の名声を高めました。以後、「蘇った青春」や「空色の本」など、多くの作品を通じて、簡潔でユーモアに富んだ表現力が多くの読者を魅了します。特に、彼はソビエト社会の矛盾を鋭く突くことで知られ、作曲家のショスタコーヴィッチなど、多くの著名人にも影響を与えました。

戦争とその後

1941年の大祖国戦争勃発後、ゾーシチェンコはカザフスタンに避難し、映画の脚本家としても活動しました。1943年にはモスクワに戻り、雑誌「鰐」の編集者となります。彼の戯曲「帆布の鞄」は、大成功を収めることになります。

ジダーノフ批判と逆境

しかし、1946年から始まるジダーノフ批判によって彼の風刺的な作品は強く非難され、出版社から出版が禁止される事態に直面します。以降、長期にわたり貧困生活を余儀なくされます。1953年にスターリンが死去すると、彼は活動再開の道が開かれ、1955年には作家同盟に再加盟しますが、その後も検閲による制約が続きました。彼は、雑誌に執筆しながらも自由な表現には限界があり、最終的に1958年に静かに世を去ることになります。

作品と評価

ゾーシチェンコの死後も彼の作品は政治的理由で改編されることが続きましたが、西側諸国では早くから彼の作品が多言語で発表され、その影響で受け入れられていました。彼のユーモアと社会批評に満ちた作品は、今もなお文学界において重要な位置を占めており、多くの文学研究者によって再評価されています。

もう一度検索