ミハイル・ヴォロンツォフ

ミハイル・イラリオノヴィッチ・ヴォロンツォフ伯爵の生涯と業績

ミハイル・イラリオノヴィッチ・ヴォロンツォフ伯爵（1714年 - 1767年）は、帝政ロシアにおいて重要な役割を果たした貴族、政治家、外交官です。彼はエリザヴェータ・ペトロヴナ、ピョートル3世、そしてエカテリーナ2世の治世において、ヴォロンツォフ家の繁栄を促進しました。

幼少期と宮廷でのキャリアの始まり

ヴォロンツォフは14歳の若さで、エリザヴェータ大公女（後のエリザヴェータ女帝）の宮廷に小姓として仕官します。1741年、エリザヴェータはクーデターを実行し、年少のイヴァン6世を排除して帝位に就きました。この際、ヴォロンツォフは女帝を支持し、物資面での支援を行いました。

1742年には、エリザヴェータ女帝の母方の従姉妹であるアンナ・スカヴロンスカヤと結婚し、同年には伯爵位を授与されます。彼はまた、副宰相の地位にも任命されました。その後、アレクセイ・ペトロヴィッチ・ベストゥージェフ＝リューミン家と対立し、反ベストゥージェフ派に参加します。ベストゥージェフの失脚後、ヴォロンツォフは外相兼大宰相に就任し、エリザヴェータ女帝の寵愛を受けました。

政治家としての評価

彼は、公平であったが、臆病で決断力に欠ける政治家として知られています。エリザヴェータ女帝の支援のもと、プロイセンに対抗しつつ、オーストリアとフランスと良好な外交関係を築きました。しかし、1762年に女帝が崩御すると、状況は一変します。

ピョートル3世と権力の変動

エリザヴェータ女帝の死後、ピョートル3世が即位しました。新帝はプロイセンに心酔し、ロシアの外交政策も変わります。その中でヴォロンツォフは、姪のエリザヴェータ・ヴォロンツォヴァがピョートル3世の寵姫であることを利用して、自身の権力をさらに強化します。しかし、エカテリーナ2世が即位すると、状況は再び急激に変わります。

エカテリーナ2世の登場とその後の人生

エカテリーナ2世は1772年にピョートル3世を廃位し、その後の宮廷ではヴォロンツォフの政治的地位が悪化します。彼は外交政策の権限をニキータ・パーニン伯に奪われ、自らの引き際を見定めて1763年に公職を辞すことになります。彼の政治活動と影響力は、エカテリーナ2世の即位と共に大きく変化し、最終的には退場することとなりました。

まとめ

ミハイル・イラリオノヴィッチ・ヴォロンツォフ伯爵は、帝政ロシアにおける重要な貴族であり、エリザヴェータ女帝やエカテリーナ2世の時代において、彼の行動や選択が宮廷での権力構造に大きな影響を与えました。彼の生涯を通じて、ロシアの外交や政治の舞台で彼が果たした役割は、今なお多くの人々に記憶されています。

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