ミャンマーにおける売春

ミャンマーにおける売春

東南アジアに位置するミャンマー連邦共和国において、売春は法的に認められていない非合法な行為とされています。この非合法な活動は、特に女性や子どもたちに深刻な影響を及ぼしており、同国が直面する重要な社会問題の一つとなっています。

ミャンマーは、国内外における性的な搾取の対象となる人々や強制労働者の主要な供給源となっています。特に近隣国のタイには、推定で2万人から3万人のミャンマー人が送り込まれているとされ、これらの人々の多くはタイとの国境に位置するラノーンやメーサーイといった都市に連行されます。タイで働くミャンマー出身の性労働者の大多数は、同国の少数民族出身者であるという特徴があります。さらに憂慮すべきは、タイで確認されるミャンマー出身の性労働者のうち、実に60パーセントが18歳未満の未成年であると推定されている点です。タイ以外にも、ミャンマーの人々は中国（特に雲南省の国境都市・瑞麗市）、バングラデシュ、台湾、インド、マレーシア、韓国、マカオ、日本といったアジア各地に、性労働者や強制労働者として送り出されています。

国際的な人身取引に加え、ミャンマー国内でも人身売買は深刻です。地方都市からヤンゴンなどの都会、軍事基地周辺、国境沿いの都市、そして漁村へと、人々が売春を目的として移送されています。

売春に従事することになる背景には、いくつかの要因があります。しばしば、高収入で合法的な仕事に就けるという甘い言葉で誘い出されるケースが見られます。また、教育水準が低いために、他の職に就くことが難しいという現実も影響しています。多くの事例では、地理的に隔絶されたへき地出身の女性が被害者となっています。

ミャンマー国内における売春の行われる場所は様々です。最大都市ヤンゴンでは、売春宿を兼ねたホテルが多く存在します。1990年代半ば頃から登場したマッサージパーラーもその舞台の一つとなっており、これらの施設の中にはワ族のような少数民族によって経営されているものもあります。ヤンゴンのナイトクラブにも、個人的に活動する売春婦が多く集まっているとされます。国内の他の地域でも、性産業は一般的にレストランやゲストハウスと称される実質的な売春宿、あるいはナイトクラブといった場所で行われています。

社会情勢の変化も売春の状況に影響を与えることがあります。例えば、2008年5月にミャンマーを襲ったサイクロンNargisの後、ヤンゴンでは売春に従事する女性の数が顕著に増加しました。それに伴い、売春の価格が下落するなど、市場の状況にも変化が見られました。

このように、ミャンマーにおける売春は単なる非合法行為に留まらず、国内外に広がる人身取引と深く結びつき、貧困、教育格差、社会的な脆弱性を背景として、特に弱い立場にある女性や子どもたちを搾取する深刻な人道問題となっています。

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