ミヤコジマハナワラビ

ミヤコジマハナワラビ

ミヤコジマハナワラビ（宮古島花蕨、学名: Helminthostachys zeylanica）は、ハナヤスリ科に属する珍しいシダ植物で、唯一の種で構成されるミヤコジマハナワラビ属に分類されています。

特徴

このシダの最も特徴的な部分は、立ち上がった茎の先端から葉が広がり、その間から胞子葉が顔を出す点です。地下には根茎があり、太くて真っ直ぐな根を多数持っています。茎は厳密には担葉体（たんようたい）と呼ばれ、高さは約20〜40 cm、濃い緑色をしていて、やや柔らかい質感を持っています。先端には栄養葉が掌状に展開されており、基部が3裂した小葉がさらに分かれています。

小葉は長楕円形で、長さは6〜20 cm、柔らかく光沢があります。葉の縁は不規則な鋸歯を持ち、小葉は水平または斜め上に広がります。十分に育った個体では、頑丈な栄養葉の間から胞子葉が出現し、大きなものは20 cmに達することもあります。胞子葉の柄の先には穂状に胞子嚢をつけた軸が伸びることがあり、時折分枝も見られます。

分布

ミヤコジマハナワラビは主に日本の琉球列島、特に沖永良部島以南に生息しています。この植物は南アジアからオセアニアにかけての熱帯および亜熱帯地域にも広く分布しています。森林の地表で育ち、群落を形成しますが、沖縄では低地の森林に限られた個体しか見られず、その数は減少傾向にあります。このため、絶滅の危機が懸念されています。

利用

中国南部では若葉が食材として利用されることや薬用としての効果も期待されていますが、日本国内では生育地が限定的で数も少ないため、実際に利用されることはほとんどありません。この植物に対する関心が高まる中で、持続可能な使用方法の模索が必要です。

分類上の位置

ミヤコジマハナワラビは、2016年のPPG Iによる分類で、ハナヤスリ科の中でも独自の亜科であるHelminthostachyoideaeに位置付けられています。この亜科の範囲はShinohara et al.（2013）によって定義されています。また、本種はカール・フォン・リンネによって初めてゼンマイ属のOsmunta zeylanica L.として記載されたことがあります。

これらの特徴や分布によって、ミヤコジマハナワラビは生物多様性の一環としても重要な存在です。保護活動を通じて、未来の世代にこの貴重なシダを残すことが求められています。

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